北海道北東部にある雄武(おうむ)町と江の島片瀬漁業協同組合が中心となって「みんなの祭り◯◯◯(マルマルマル)祭り」が5月12と13の両日、江の島片瀬漁港で催された。昨年10月、台風で被害を受けた江の島周辺の漁業を応援しようと、同組合の販売部長を務める双子で兄の榎本正彦さん(41)と旭川市内で水産卸会社を営む弟の幸彦さんらが企画。約8カ月の構想を経て、開催にこぎつけた。
朝9時の片瀬漁港。「北海道から来た新鮮な毛ガニがあるよ」と威勢の良い掛け声が響くと、来場者がひきつけられるように販売ブースに足を運んでいく。「どうやったらおいしく食べられるの?」。客との会話が生まれ、会場は市場さながらの賑わいを見せていた。
相互の課題解決に
2人は元々東京の生まれ。仕事の縁で北海道に渡った幸彦さんが取引先の雄武漁業協同組合の元組合長から相談を受けたのがきっかけだった。
「漁業環境に恵まれた雄武の目玉と言えば海産物。だが、それを知ってもらう場がない」
雄武町は酪農と農業が盛んで、オホーツク海に面していることもあり、漁業も活発。しかし、人口は4800人ほどと過疎化が進み、町の魅力を広める機会がなかった。
一方、正彦さんが仕事する江の島は観光客が数多く足を運ぶものの、漁獲高は年々減少傾向にある。右肩上がりの需要に対し、供給が追い付いていない現状があった。
昨年10月の台風では、組合員の定置網のおよそ半分が損壊。被害額は1億円に上るなど大きな被害が出た。あるとき、2人が連絡を取り合うなかで気が付いた。「それなら復興支援を兼ねて2つの町を結びつけたら」。相互の課題を解決する狙いもあった。以来、組合間の調整など、8カ月かけて準備を重ねてきた。
正彦さんは「人と人がつながる場所を作ることができて良かった。お互いの町が持つ課題を解決するきっかけになればうれしい」、幸彦さんは「毎年、藤沢で開催できたら。雄武町だけでなく、地方に足を伸ばすきっかけにもしてほしい」と話した。
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