プロサーファーで30年来、ハワイの「パイプライン」で大波に挑み続けている 脇田 貴之さん 片瀬海岸出身 46歳
生の実感、波とともに
○…サーフィンに捧げてきた自らの半生を描いた映画「ワキタピーク」がこのほど公開された。「本当は目立つのが嫌なんだけどね」。聖地のコミュニティーは決して大きくない。些細な妬みも人間関係にヒビを入れかねず、大々的に取り上げられることで築きあげたものが崩れてしまうのではとの懸念があったからだ。無論、うれしさもある。「監督には感謝してる。コツコツやっていれば、いいこともあるんだなと」
○…地元で重鎮として知られるサーファーに憧れ、中学生からサーフィンを始めた。学校の合間を縫っては海に出かけ、プロを志すようになるまで時間はかからなかった。「もっと上手くなりたい」。高校卒業後は本格的にハワイに軸足を移すようになり、20歳の頃プロに転向。以来、ハイシーズンとされる秋から春は現地に渡り、日本と行き来する生活を送っている。
○…世界のトップサーファーが集う「パイプライン」の波は世界一美しいと称される反面、その巨大さや浅瀬にある岩礁から常に危険を併せ持つ。これまで幾人ものサーファーが命を落とし、自らも怪我を繰り返してきた。自然の怖さは十分身に染みている。それでも、海から遠ざかろうとは思わない。波の内側に入った者だけが見られる景色や抜けたときの達成感。「魂が安らぐというか、生きている実感が得られる」。そう感じているからだ。
○…家族揃っての波乗り一家。19歳の息子と15歳の娘も現在は世界を転戦するプロとして活躍している。「自分が大好きなことと同じ道で、夢を追いかけている。本当にうれしいこと」と目を細める。願いは子どもたちが健やかであることが第一。もう一つあげるなら「やっぱりパイプラインで夢にまで見たビッグウェーブを決めてみたい」。夢はまだ途上だ。
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