藤沢市が独自基準で行っている高齢者の生活支援「訪問型サービスA」が、スタートして2年。研修を修了した担い手は120人超と着実に増えている一方で、利用者は伸び悩んでいる。市はこの事業を、「介護予防だけでなく、助け合いの地域づくりの一環」と位置付け、アピールに努める。
藤沢市は2016年10月から「介護予防・日常生活支援総合事業」を開始した。従来の要支援1・2を対象にした調理、掃除、洗濯などを行う生活援助「介護予防訪問型サービス」を存続しつつ、市独自の「訪問型サービスA」を作成。対象は、比較的軽度の要支援認定者や、地域包括支援センターなどで受けられる基本チェックリストで認定された人で、「介護認定に通常1カ月程度かかるが、リストを活用すれば迅速に利用できるので、予防と日常生活の自立につなげたい」と市地域包括ケアシステム推進室は説明する。
このサービスは、「住民主体」の理念のもと、市と市社会福祉協議会、ふじさわ福祉NPO法人連絡会と協議しながら作成。三者の連携は全国的にも珍しく、市担当者は「NPOが知る住民目線を大切にしたかった」と説明する。内容は、洗濯なら干すだけ、料理なら固い物を切ったりする下ごしらえだけなど、できない部分だけをピンポイントで利用できるのが特徴だ。
人材の裾野広げ
従来の訪問型サービスは資格を持ったホームヘルパーらが行うのに対し、市のサービスは、家事援助に特化するため、市が行う研修を受講し就労資格を取得できる。研修は、ホームヘルパーより短時間で、託児サービスを設けるなど間口を広げている。
今年度は8・10・12月に実施され、10月に行われた研修には、主婦や退職した男性など30代から70代まで20人程度が参加。10月末までに123人受講した。なかには「興味を持ったので参加した」と話したNPOの事務職員の女性や、「介護の基礎が学びたい」という育児中の女性など、就労を意識していない人も。研修の窓口となる社協は、「サービスを提供する人材を育成するだけでなく、住民主体の地域づくりの一環」と話し、市の担当者は「高齢者の身体や心を学ぶ研修の知識を持つ人を、地域活動につなぐ仕組みを作れれば」との思いもある。
今後の課題は、サービスの利用者増加だ。報酬の高い従来型をケアプランに組み込みがちで、仕事が少なく雇用できない事業者も多い。高齢者が住み慣れた街でいつまでも暮らせるよう、介護度の進行予防と日常生活の自立に向けた取り組みとして、市はサービスの利用者拡大をめざし、引き続きアピールしたいと考えている。
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