アニメや漫画など作品ゆかりの舞台を訪ねる「聖地巡礼」。熱烈なファンは作品の世界により没頭できると遠く離れた地方まで足を運ぶ一方、受け入れる自治体側も国内外からの観光客の増加を歓迎する。先月、「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」に選ばれた藤沢市。現代の地域振興策として、アニメを見直す声が地域でも広がっている=外面に関連記事。
「京都から来ました!2回目の巡礼です」「7回目くらいの訪問です。また来ます」
レジの前に置かれた「聖地巡礼ノート」には全国各地から訪れたアニメファンの書き込みがびっしりと並ぶ。
江の島島内にある「島の茶屋あぶらや」。同店は2012年に放送されたアニメ「TARI TARI(タリ タリ)」の作中で、主人公の女子高生の実家という設定で登場した。6年が経過した今もファンが訪れるといい、ノートは今年で5冊目を迎えた。
同店店主の秋岡恵利子さん(68)は放送後、「普段は女性が多いお店が、男性客だけで満席になったこともあった」と反響の大きさを驚く。
反響は国内だけにとどまらない。藤沢市観光協会によると、昨年度市内3観光案内所を訪問した外国人観光客数は1万7531人と1万902人だった2014年度から大幅に増えた。
アニメによる誘客効果は定かではないが、担当者は「作品のコスプレをする外国人観光客もよく目にする。一定数はいるのでは」とみる。今春には中国サイト「百度」の検索で「江の島」が富士山に次いで2位に。ちょうど江の島を題材にした「刀使ノ巫女(とじのみこ)」が放送された時期と重なるという。
湘南藤沢フィルム・コミッションでは、今年度中には過去のアニメ作全てを網羅した「ロケ地マップ」を作成し、誘客に役立てる考え。担当者は「肖像権のある人間と違い、アニメ作品であれば権利者との調整だけで色々な物が作れる」とメリットを説明する。
一方、事業者もアニメによる地域振興には歓迎ムードだ。訪問客にとってはあくまで聖地巡礼。マナーや節度を守って行動することが美徳という暗黙の了解があるようで、秋岡さんは「皆礼儀正しくていい子ばかり。アニメファンのお客様が増えるのはお店にとってもうれしいこと」と話した。
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