高校生が制作した映像作品の完成度を競う「高校生のためのeiga world cup 2018」の地域部門で藤沢清流高校3年生の二井良平さん(18)が優秀作品賞を獲得した。作品名は「夜を歩いていく」。今年、母親を亡くした自身の体験を4分40秒の作品にまとめ上げた。
NPO法人映画甲子園が主催する同コンテスト。自由・地域・ミュージック映像の3つの部門に分かれており、全国から143作品の応募があった。
きっかけは学校での映像の授業で知って。「将来映像の道に進むための腕試し」と思い、今回初めて応募した。二井くんは監督・脚本・主演・ナレーションを務め、友人がカメラマンを担当。わずか1週間で完成させた。
作品の題材に選んだのは「今年の5月に亡くした最愛の母」。元々アニメ好きだった二井さん。生前、母親と交わした「いつかアニメーションでアカデミー賞を獲る」という約束を思い出し、今の自分にしか伝えられないことを作品にしようと決意。だが、制作過程の中では苦悩の連続だった。「いざ脚本を書き始めると、母親と共に過ごした時間を思い出さなければいけない。その度、心が締め付けられるように苦しかった」と振り返る。それでも「作品を完成させて、悲しい気持ちにひと区切りをつけないと」と必死の思いで脚本を書き上げた。
作品は海や学校などが舞台。母親を亡くして色も音も消えた夜の世界から始まる。悲しみに満ちていても、自分の周りには多くの人がいることに気付かされる。気付きをきっかけに自分は幸せだと思い始め、次第に色や音がある世界へ一歩踏み出し、夜が次第に明けていくまでを物語にした。
問いかける作品を
二井さんの作品は「問題提起し、観た人なりの答えを出せる」がコンセプト。今回も「死」に直面し、次にどう進むかを見る人に問いかけている。次は「安楽死」をテーマに制作してみたいという。
二井さんは「思いが審査員に届いて良かったが、満足はしていない。でも、大切な人を亡くした人に絶対に一人じゃないと作品を通じて伝えられたら」と強い思いを語った。
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