東日本大震災の被災地へ救援のため、鎌倉市から派遣されていた緊急消防援助隊が先月24日、松尾崇市長に活動内容を報告した。隊員たちは災害の惨状を目の前に「自然の驚異をまざまざと感じた」とし、「『人命救助』という自分たちに課せられた使命に、全員一丸となって作業にあたった」と語った。
鎌倉市からは、先月14日から20日までの期間に、1次隊・2次隊として計14人が派遣された。いずれも救助活動経験のある隊員たち。活動場所は宮城県仙台市の宮城野区(1次隊)と若林区(2次隊)で横浜市の消防援助隊らとともに、救助活動と人命検索を行った。
津波被害に「絶句」
仙台塩釜港に近い海辺の街の惨状は、救助のプロの隊員たちをして「どこから手をつけたらいいのかわからないほど」だった。住宅も基礎が残るのみで、海岸の松の木が、根こそぎ3Km以上先まで流された光景に、当初は「絶句」したという。
1次派遣隊の高橋浩一隊長は「道路もふさがれ、重機が利用できない状況で、マンパワーで人命検索にあたった」と話す。余震が続く中、野営地でテントを張り早朝から日没まで作業。生存者は見つからず、5人の遺体を収容した。
阪神・淡路の震災時でも救助活動経験を持つ二次隊の竹ノ谷直人隊員は「津波の被害で、阪神の規模を越えている。海のある鎌倉市でも、今回の教訓を活かしたい」と語る。松尾市長は隊員たちから語られる惨状に、言葉を詰まらせながら「危険を顧みず、被災者のために、行動する皆様の姿勢に感謝します」と話した。
被災者の受け入れ準備進む
同日、鎌倉市は震災による避難者の一時受け入れ体制が整ったことを発表した。避難所とするのは、市内の老人センター(名越・笛田・玉縄・今泉)と鎌倉・大船体育館の6施設で416人。入浴設備と畳部屋のあることから、老人センターから優先的に受け入れる。すでに鎌倉市内の親戚・縁者を頼って避難している被災者もいるという。多人数の場合等は県からの振り分けにより対応する。
期間は4月末までだが、より長期となる可能性もあるという。松尾市長は「個人・企業からのホームステイ受け入れや食事支援などの声も多く、鎌倉市民の善意を強く感じている。状況を見ながら、避難者への方々に必要となる物資に提供を呼びかけたい」と話す。
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