鎌倉風致保存会(上野豊理事長)は先月23日、神奈川県から「公益」財団法人の認定を受けた。今後、公益性の高い財団法人として、より一層、社会的信用を高めるとともに、寄付金などへの税控除が受けられることになる。そのため、これまで直接受けることのなかった土地や建築物の寄付にも対応できる可能性が出てきた。
鎌倉風致保存会の公益法人化は、国の制度改革にともなうもの。この制度改革により、2013年11月までに全ての財団(社団)法人は、「一般」または「公益」へ移行しなければならない。風致保存会では、昨年の3月末に県へ申請し、約1年かけて認定を受けることができた。
「一般」財団法人の場合、税制面での優遇がほとんどなくなるため、寄付金を受ける同会としては、よりハードルの高い「公益」化を選択した。そのメリットは第一に、より高い公益性を認められることによる確かな社会的信用だという。
その他にも、寄付金などに対する税の優遇も挙げられる。これまで寄付金は、課税控除を受けられる鎌倉市への寄付として市風致保存基金に積み立てられ、市が同会の活動を支援する形が取られてきた。公益化された今後は、県内からであれば、寄付金控除の対象となるため直接、受けることができる。また、税制の優遇措置から、これまで寄せられてこなかった土地・建物の寄付にも、門戸が開かれたことになる。
同会は、鶴岡八幡宮裏山「御谷(おやつ)」の宅地開発反対運動をきっかけに1964年に財団法人として設立。自然や歴史的建造物の保全を目的とした運動「ナショナル・トラスト」の団体として知られる。
現在は、御谷山林と笹目緑地、十二所果樹園の約7・8ヘクタールを買収し保存している。約500人の賛助会員からなり、ボランティアスタッフによる市内寺社や緑地などの定期的な清掃活動をはじめ、歴史見学会、雪ノ下の大佛次郎茶亭の保存管理なども行う。
同会の事務局長を務める野田充博さんはナショナル・トラスト運動について「緑地の『買取』という手段は、最終的な手段。あくまでも緑地を残し保全することが目的」とし、日頃の清掃活動などへの参加を呼びかけている。2014年には創立50周年を迎える。
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