「山崎・谷戸の会」の事務局長を務める 黒川 美加さん 山崎在住 47歳
里山文化を継承
○…山崎地区の農文化を継承し、鎌倉中央公園の谷戸の景観や里山保全活動を行っているNPO法人「山崎・谷戸の会」。前身には20年以上前から活動している団体もある。事務局長には2011年6月に就任。同会は今年2月、地球環境保全に向けた活動をしている個人や企業、団体に贈られる県の「かながわ地球環境賞奨励賞」を受賞した。「長い期間活動を継続していることが評価されたのでは」と受賞について語る。
〇…出生は富山県。幼少時は父親の仕事の都合で転居が多く、10歳頃世田谷区へ。以来東京暮らしが長く、通勤・通学は専ら地下鉄。自ら「アスファルト育ち」と話すほど山野のある光景には縁遠い生活を送ってきた。大学卒業後は都内の大手企業でシステムキッチンなどを販売。26歳の時、結婚を機に夫の地元である鎌倉に移住した。
〇…当時、地域に溶け込み、幼い愛息に遊び仲間を作るため、同会の前身である「山崎の谷戸を愛する会」に入会。そこで目にした、田畑で異なる世代が楽しそうに一つの作業をする様子が「衝撃的だった」と振り返る。以前の都会生活は、便利さや目新しさをもたらすと同時に「息苦しかった」。会の活動を続けるうちに次第に谷戸の「自分たちの暮らしを自分たちで作る、人間的な営み」の魅力に引き込まれていった。
〇…夫もともに保全活動を行っている。3人の子どもも谷戸で育った。同会は来年節目の10周年を迎える。都会で育った自身が事務局長を務めることで、自然に対する意識が薄い人にも谷戸の会を身近に感じてもらい、「月1回でも良いので参加してもらえれば」と願う。10年ほど前から、子どもたちを自然の中で育てる、青空自主保育を行う団体「にこにこ会」で保育者としても活動中。かつては合唱やスキー、ゴルフなどを嗜んだが、最近はめっきりやらなくなった。「今は、日々の活動が趣味になっていますね」と微笑んだ。