鎌倉市が実施した耐震診断の結果、市立保育園2園で基準値を下回ったことが分かった。市は「優先的な耐震化が必要」と診断された園で改築や移転・新園舎建設の方針を打ち出したが、保護者には戸惑いもあるようだ。
鎌倉市は現在、「鎌倉市耐震改修促進計画」などに基づき、公共施設の耐震診断を進めている。構造耐震指標の一つであるIs値(地震力に対する建物の強度、靱性を考慮して各階ごとに算出)の基準を0・60とし、下回るものについては可能なものから改修、建て替え更新等の耐震化を図る、としている。
昨年8月から今年3月までかけて市立保育園3園で耐震診断を実施し、稲瀬川保育園で1階が0・53、2階が0・34、材木座保育園(平屋建て)で0・60、岡本保育園で1階が0・40、2階が0・16と診断された。稲瀬川と岡本の2園では「優先的に耐震化を検討する」Is値0・4以下となったことから市は、4月5日、診断結果と稲瀬川では一時的な移転場所を確保したうえで2階の撤去工事を、岡本では移転のうえ新園舎を建設する方針を発表した。
診断を実施した3園は、いずれもサーモコンクリート構造という、現在の建築基準法では適用されない工法が使用されている。耐震性の不安から2009年以降、鎌倉市保育園保護者連絡会が市に対して耐震改修計画の策定や建物の耐震基準に関する情報提供に関する要望を繰り返し行ったものの「工法が珍しく耐震診断そのものを実施できない状況」が続いていた。
保護者に不安も
岡本保育園では4月13日、保護者説明会が行われた。この日市は、県立フラワーセンター大船植物園苗ほ跡地の県有地を借り上げたうえで、来年3月までに新たな保育園舎を建設、新園舎完成まで希望者には市内認可園への転園を優先的にあっせんするほか、6月末をめどに0〜2歳児は大船保育園、3〜5歳児は玉縄青少年会館で保育を行い、送迎なども検討する方針を明らかにした。
これに対し保護者から「大船保育園は遠く利用できない」「兄弟バラバラになる」といった声があがったほか、「これまで耐震性は大丈夫と言ってきたはずで説明が足りない」「今の園舎も至急補強してほしい」「現在の場所に建て直しはできないのか」「保護者の意見を集約する機会を」などの意見が出された。
また「移転先」の県有地は、09年に子育て関連複合施設を新築する計画が持ち上がったものの、土壌から環境基準値を超えるフッ素が検出され、見直された経緯がある。市では「今回の用地は隣接しているがフッ素が検出されていない」としたが「汚染は本当に大丈夫か」や「川沿いで風水害や津波の際に危険」といった不安も聞かれた。
市こどもみらい課では「我々の提案と保護者の皆さんのご要望にずれがあることがわかった。通所するお子さんや職員の安全のために、あらゆる可能性を検討したうえで一刻も早く具体策を決めたい」と話した。
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