24年ぶりに開催されたイナムラサーフィンクラシックで優勝を果たした 大橋 海人さん 茅ヶ崎市在住 21歳
貫くは「楽しむ」自然体
○…「親父、やっちゃったよ」。勝利が告げられると全身で喜びを表した。「とにかく嬉しいの一言です。招待されるだけでも名誉ある大会。納得のライディングで波乗りを楽しめた」と満面の笑顔を見せる。サーファーの間で伝説となっていた稲村ガ崎の大波を見事に乗りこなした。2年前に急逝した父・勧さんもかつて同大会に招待されたトップサーファーだった。「指導は厳しかったけど仲の良い親子で。父親というより『海の先輩』という感じ。親父も思い入れのあった大会だから一番喜んでくれてるんじゃないかな」。
○…茅ヶ崎で生まれ育ち最初に海に入ったのは3歳の頃。父の操るボードに一緒に乗った。以来「食事と同じような感覚」と、サーフィンは生活の一部に。小5の頃から海外での試合も経験し、地元・茅ヶ崎や稲村ガ崎など湘南の海で腕を磨いた。2009年にJPSA公認プロに。高い評価を受けるエアーやカービングで自在な波乗りを見せる。
○…普段はハワイ、オーストラリア、アメリカなど海外の大会を転戦。今回もヨーロッパから帰国したばかりだった。多忙なスケジュールだが「2日くらいオフができると帰国しちゃう。地元で友人とのんびり過ごすのが好きです」と話す。
○…国内外大小問わず大会では緊張と無縁という。「だって良い波を20分間独占できるってことですから。一本一本の波をいかに楽しむかですね」。目標は日本人未踏のWCT世界ランキングで1位になること。「チャンスはあると思ってます」と力強い。一方で「海の上では順位とかはあまり考えない。とにかく見ている人をあっと驚かせたいんです」という。今大会でも波打ち際までライディングするパフォーマンスで会場を沸かせた。「ちょっと面白かったでしょ」といたずらっぽく笑う。海に抱かれ、波に乗る、その純粋な喜びを表現する「楽しむサーフィン」で、世界の波を乗りこなしていく姿が目に浮かぶ。