今月21日、鎌倉芸術館で行われる「メサイア」に出演する 金持(かなじ)亜実さん 清泉女学院中・高卒業 28歳
音楽の感動多くの人に
○…古楽器によるバロック作品の演奏で、世界的な評価を受ける「バッハ・コレギウム・ジャパン」が21日、鎌倉芸術館で初の公演を行う。演奏するのは「ハレルヤ・コーラス」でおなじみのオラトリオ「メサイア」(ヘンデル)。その舞台にソプラノの一人として出演する。「素晴らしいオーケストラ、ソリストと共演できるチャンスをもらえた。心から楽しみたい」と少女のように目を輝かせる。
○…出身は平塚市。歌との出会いは、清泉女学院中学・高校時代だ。全国的な活躍が知られる音楽部に入部して合唱をはじめ「歌で表現する楽しさに魅せられてしまった」。高校2年生で進路を決める際「音楽の道に進みたい」と宣言。両親をはじめ周囲は猛反対したが「音楽から離れることは考えられませんでした」と笑う。高校卒業後は東京藝術大学に進み、現在は同大大学院博士課程に在籍しながら演奏活動を続けている。
○…仲間とともに一つの楽曲を作り上げる合唱と違い、大学ではソリストとしての技術が求められた。自分らしい発声が見つからずに悩んでいた時に巡り合ったのがドイツリート(歌曲)。「子音の柔らかさなど、なぜかドイツ語が歌いやすく感じました」と、新たな表現のきっかけをつかんだ。現在は18、19世紀の女性作曲家が作った歌曲の「発掘」にも取り組んでおり「彼女たちの曲には女性ならではの繊細さと芯の強さがある。多くの人に知ってもらうきっかけを私が作れたら」と意気込む。
○…高校を卒業後、鎌倉芸術館のステージに立つのは初めて。「音楽部の仲間とは今でも連絡を取り合っていますし、鎌倉で過ごした6年間は自分にとって特別な時間。思い出の多いこの場所で歌えることがうれしい」と静かに微笑む。「もっといろいろな経験をして、感動を届けられる歌手になりたい」。その夢に向けて、歌と出会い、音楽の素晴らしさを知った鎌倉で成長した姿を見せるつもりだ。