3月29日に地元で初のダンス公演を行う 小畑 大輔さん 長谷在住 27歳
「人の心を動かすダンスを」
○…筋肉を躍動させながら滑らかに、ときに大胆に自分自身を演出する。そんなダンスにのめり込んで10年以上。国内外のコンテストで数々のタイトルを獲得し、「OBA」の名を轟かせてきた。「人の心を動かすような表現をしたい」と人生をかけるダンスを、3月末に地元鎌倉で初披露する。「鎌倉から世界に向けて発信していきたい。今回の公演はその第一歩」と前を見据える。
○…腰越出身。幼少時に言語の障害を抱えていたこともあり「中学校までは目立たない、いじめられっ子。勉強も苦手で学校が嫌でしょうがなかった」。そんな時、兄の影響でストリートダンスを始めると、すぐにのめりこんだ。「劣等感をエネルギーに変えることができ、自分に自信を持てるようになった」と振り返る。その一方、映画「魔女の宅急便」を見てパン屋に憧れた。「踊れるパン職人」を目指し、中学卒業後は製菓学校に進学。しかし卒業を控え「どちらも本気でやらないと究められない」と、ダンス一本に絞ることに。ニューヨークへ留学し、コンテストで優勝するなど頭角を現していった。
○…帰国すると、周囲からの過剰な期待に「このままの表現で良いのか」と迷いが生まれ始めたという。それを払拭するため、再び海外へ。内戦中のネパールでは「20代の若者が必死に戦っている。自分は何をしていたんだ」と衝撃を受けた。その後2年間は、踊らず生きることを見つめた。
○…一昨年、プライベートで問題が重なり、踊れない日々が続いた。そうした時、ふと悲しい気持ちを踊りに託してみた。身体を通して感情を発散すると清々しさに包まれたという。「自分にはこれしかない」と悟った瞬間だった。今は地元鎌倉で再出発を目指す。「自分と同じように、表現することで救われる人がいるかもしれない。だからこそ、踊るときはいつも真剣勝負なんです」。そう言うと凛とした表情を見せた。