厚生労働省が発表した推計によれば、認知症有病者数は全国で約439万人に上る。鎌倉市でも高齢化が進むなか、認知症患者とその家族の支援活動を行う民間団体と市内の精神科病院が4月22日、初の意見交換会を開催した。課題を共有することで、地域における連携を強化するのが狙い。特に入院した認知症患者の退院支援について話し合っていくという。
意見交換会を開催したのは、介護施設の職員らが会員となり認知症についての相談や情報発信、本人・家族の交流会等を開催している「一般社団法人かまくら認知症ネットワーク」(稲田秀樹代表)と、市内で唯一の精神科病院「メンタルホスピタルかまくら山」(岡田昇院長)。
この日は「ネットワーク」からグループホームのスタッフやケアマネージャー、行政書士、「メンタルホスピタル」から医師、ケースワーカー、看護師らが、同院に集まった。
冒頭、岡田院長が「認知症のケアについて、互いの課題を共有したい」と呼びかけ、参加者は「高齢者の家族が、地域でどのような介護が受けられるのか分からないことが多い」「公的なサービスが抜けている時間に、認知症の高齢者を地域で見守る仕組みが必要では」など、具体例を挙げて話し合った。
ネットワークの稲田代表は「これまで医療機関の人と関わる機会がほとんどなかったので、大変参考になり心強く感じた」と話す。
「退院できない」独居の高齢者も
意見交換会は月1回開催される予定。特に今後の課題としているのが認知症の人の「退院支援」だ。
厚生労働省は一昨年6月、「認知症になっても本人の意思を尊重し、住み慣れた地域や自宅で生活できるようにする」とした、認知症施策の方向性を発表した。
しかしこの日の話し合いでも同院の看護師から「軽度の認知症で入院したのに、独居や家族のサポートが十分に得られないために退院できないことがある」といった報告があるなど、入院してしまうとそれが長引き、生活機能が衰えてさらに退院が困難になるケースも多いという。
稲田代表は「厚生労働省の推計を鎌倉市に当てはめると、高齢者の3分の1にあたる、約1万4500人が認知症か軽度の認知障害ということになり、認知症への対応が大きな課題となっていくと思う。医療と介護の連携を深めて、地域で高齢者が安心して生活できる方法について考えていきたい」と話していた。
鎌倉版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|