大型連休中のある朝、由比ヶ浜海岸の空を色とりどりの凧が舞った。揚げていたのは「鎌倉凧の会」のメンバー。地域で受け継がれてきた伝統を守ろうとする会の活動について聞いた。
同会は1986年、それまで市内の各地域にあった「保存会」などを統合する形で発足した。時代の変化で凧揚げの機会が少なくなるなか、伝統の継承が目的だったという。
現在は約50人が所属し、春や秋に「大会」と題して会員がそれぞれ手作りした凧を揚げて楽しんでいる。会員の多くは60〜70代だが、「海岸を散歩中に凧揚げをしている様子を見て『飛び込み』で活動に参加するようになりました」という矢部光寛さん(40)のように若手の会員も徐々に増えている。
会長の藤原隆彦さんによると、鎌倉では凧揚げはお祝いの際に行われることが多かったため鎌倉凧は正方形で、家紋や「祝」「勝」などを描いた字凧が多いことが特徴という。
「昭和の初め頃は、鎌倉に別荘を持つ人などが『スポンサー』となり、大凧を競うように揚げていた。何十枚も空を舞っていたその景色はさぞ壮観だったと思う」と藤原さん。当時、見物する人々には食事が振舞われ、浜はお祭りのような賑わいだったそうだ。
同会は子どもを対象とした普及活動にも力を入れる。依頼があれば凧作り教室を開催しており、第一小学校では毎年5年生に作り方とその魅力を伝えている。藤原さんは「凧を作り始めて60年近く経つが、完成した時の喜びは今も変わらない。子どもたちにこそ和凧を作り、それを揚げる楽しさを知ってほしい」と話している。
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