神奈川県は、県立近代美術館・鎌倉館(雪ノ下)を閉館する方針を示している。同館が建つ鶴岡八幡宮との借地契約が2016年3月末で満了することを受けたもの。返還の際には更地にするという契約だったことから、「戦後モダニズム建築の傑作」と称される建物も存続の危機に瀕している。こうした事態を受け、建物の保全・活用を求める市民が署名活動を開始した。
「近代美術館の建物の保全活用のため、署名をお願いします」。6月15日の朝、2人の女性が鎌倉駅前で通行人に呼びかけた。
署名活動を行っているのは、市内で建築士事務所を営む横松佐智子さんら。横松さんは昨年末、新聞等の報道で近代美術館の存続問題を知ったという。「私自身何度も訪れて大好きな場所。壊してしまったら全ての価値が失われてしまうと思った」と友人2人と建物の保全・活用を訴える署名を集めることを決めた。
調査や準備期間を経て、5月中旬から毎週日曜日の午前中に鎌倉駅前で活動を行っている。この日も足を止め、署名する人の姿が見られておりこれまでに1千筆以上が集まった。「想像していた以上に関心が高まっているように感じる。せめて建物は保全してほしい」と横松さんは話す。今後は7月上旬まで活動を続け、下旬に文化庁、県、市、鶴岡八幡宮にそれぞれ提出する予定という。活動への問合わせは【FAX】0467・25・3119横松さんへ。
県立近代美術館・鎌倉館は1951年、鶴岡八幡宮内に建てられた日本初の公立近代美術館。建築家坂倉準三氏が手がけた建物は、「戦後モダニズム建築の傑作」と高く評価されている。
鶴岡八幡宮との借地契約が2016年3月に満了することから、県は同館を閉館する方針を示している。契約では土地を返還する際には更地にする、としていたことから建物の保全を求める声が各方面から上がっている。
そのため県は、建物の耐震診断などを含めた調査を9月から実施し、返還時における建物の処遇について今年度中に方向性を示す、としている。
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