乗客総数4億人を達成した湘南モノレール株式会社の社長 田中 孝治さん 横浜市在住 61歳
「安全と地域の発展目指す」
○…1970年3月の開業から今年で44年。湘南モノレールは6月23日、乗客総数4億人を達成した。「沿線住民の方々の協力があってこそ。感謝の気持ちでいっぱいです」と地域とともに積み重ねてきた年月に思いを馳せる。
○…愛知県出身。名古屋大学経済学部を卒業後、三菱重工に入社。ダムの水溝など鋼でできた鋼構造物を担当する営業マンだった。2008年4月、湘南モノレールへ。その当時は「モノレールがあることを知っている程度だった」と振り返る。翌年6月に社長に就任して以来、取り組んできたのが「予防保全」と名付けた社内の意識改革。「踏切がなく、大きな人身事故が起きる可能性は一般の鉄道に比べ低い。しかし車両や線路等の不具合で鉄道が30分以上止まる輸送障害が年に1回ほど起きている」として、習慣や規則に囚われない実態把握と業務改善を社内で徹底する。
○…次の5億人達成に向け「地域との共存・共栄」をテーマに掲げる。「高齢化が進んでいくなかで、鉄道の役割は大きくなっていくと思う」と地域鉄道の使命を感じている。駅のバリアフリー化や災害対策を進め、各駅を中心としたコミュニティの発展に寄与していきたい考えだ。昨年誕生した同社のマスコットキャラクター「しょもたん」もそうした取り組みのひとつ。「湘南モノレールや沿線の情報を発信し、地域とのコミュニケーションの中心になってほしい」と期待を込める。
○…プライベートではゴルフやマラソンを楽しむスポーツマンの顔も。特に30年以上続けているというマラソンは「ゴールした時の達成感がたまらない」と藤沢市民マラソンや横浜マラソンに毎年のように参加している。取材中、何度も口にした「地域鉄道」という言葉。そこにゴールはなくとも、これからの同社を一歩一歩引っ張っていくという使命感と、沿線地域への想いが感じられた。