市内由比ガ浜在住の和紙ちぎり絵作家・佐藤せつさん(80)が、鎌倉で初となる作品展を7月27日(日)まで、鎌倉生涯学習センターで開催している。佐藤さんは独自の技法で花をはじめとした自然を描き、テレビ出演や全国での教室開催を通して和紙ちぎり絵の普及に努めてきた第一人者。創作活動の集大成とも言える作品展に「鎌倉の人にも楽しんでもらえれば」と話す。
佐藤さんは千葉県出身。幼い頃から絵が好きで、学生時代から油絵や水彩画を
学んできた。転機は30代の半ば頃。富山県で出会った手すき和紙の美しさに感動するとともに、用途が少ないために技術の継承が途絶えようとしている現状を聞き「何か自分に出来ることはないか」と、和紙ちぎり絵の制作を始めた。それまでに培った洋画の知識も活かし、独学で技法を開発。主に花をモチーフとした作品を発表してきた。
1971年、結婚後に住んでいた札幌の百貨店で初の個展を開催すると、連日大盛況となり「私も作りたい」という声を受けて、教室を開くことに。76年に東京で個展を開催したところ、作品を目にしたNHK関係者のオファーを受けて、テキストを出版。81年以降、同局の「婦人百科」「おしゃれ工房」といった番組にも出演した。その後は全国で教室を主宰、著作の出版など、和紙ちぎり絵の普及に努めるとともに、アメリカ、トルコ、エジプトなど海外でも作品展示やワークショップを開催してきた。
40年以上にわたる創作活動や教室での指導を振り返り佐藤さんは「ちぎり絵は手で作るからデコボコ、いびつでも構わない。同じ見本をもとに作っても一つとして同じ作品はなく、そうした自由な表現が多くの人の心を掴んだのではないでしょうか」と話す。
地元で初の開催
以前からアトリエを構えていた鎌倉に拠点を移したのは10年ほど前。2011年に病に倒れ、一時は右半身が不自由な状態に。懸命なリハビリもあり、日常生活に支障はほとんどなくなったが、現在は作品の制作を行っていないという。
鎌倉で初となる今回の作品展は、NHK手芸フェスティバルに出品して来た大作を中心に、40点ほどを展示。佐藤さんは「芸術というより手芸、趣味の延長と思い、何より自分自身が楽しんで続けることができた。これまで培った物を鎌倉の人に見てもらえればうれしい」と話している。
会場は鎌倉生涯学習センター地下ギャラリー。展示は午前10時から午後5時(最終日4時)まで。
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