「鎌倉・ナッシュビル友好協会」の代表を務める 坂(ばん) 麗水さん 雪ノ下在住 68歳
鎌倉を語り継いでゆく
○…日本のみならず、海外での演奏経験もある薩摩琵琶奏者。地元鎌倉では様々なイベントで活躍しており、その過程で多彩な顔を持つようになった。そのひとつ、鎌倉・ナッシュビル友好協会の代表として9月20日、パートナーシティ締結調印式に臨んだ。「会員の悲願だったので素直に嬉しい。これからも外に向かって鎌倉の良さを伝えていきたい」と笑顔で語る。
○…大阪生まれ東京育ち。23歳の時、結婚を機に鎌倉へ移り住んだ。6人の子どもを育て上げるなかで「当時は『御谷騒動』の熱気が残っていた頃。尊敬できる人が多くいて、たくさんの刺激を受けた」と振り返る。薩摩琵琶との出会いは子どもが通う御成小学校に改築の話が持ち上がった時、後の師となる琵琶奏者に演奏会の開催を頼んだのがきっかけだった。平家物語に代表される「鎮魂の語り」として鎌倉時代に盛んだったとされる民衆の歌の奥深い魅力にのめり込み、「必死で練習してきた」との思いは強い。
○…鎌倉・ナッシュビル友好協会の代表に就いたのは2013年。「気が付いたらなっていた」というが、きっかけは昨年4月に鎌倉市友好訪問団の団長としてナッシュビルで行われた「桜祭り」に参加したこと。オープニングセレモニーでは演奏を披露した。現地は現在のポップミュージックの源流とされるブルーグラスが盛んな街。「民衆の歌として親しまれてきた音楽に琵琶と通じるものを感じる」と両市提携の意義を話す。
○…「東日本大震災以降、鎌倉は歴史や文化だけでなく人も魅力なのだと再確認した」と話し、多くのチャリティーイベントに参加する。それは自分たちで現実を変えようと様々な活動を行ってきた先人たちの姿に重なる。「私にとって何よりの誇りは、子どもたち全員が鎌倉のことを好きでいてくれること」。鎌倉の歴史とともに歩み、得てきたその経験を、琵琶のように未来へと語り継いでゆく。