鎌倉市議会建設常任委員会が12月16日、開催され、「北鎌倉駅裏トンネル」に関する2件の陳情の審議が行われた。1件は開削も含めた「安全対策の早期実現」を、もう1件は景観・史跡の保全を目的に「トンネルの保存を前提とした補強」を求めるもの。審議の結果、安全対策の実現を求める陳情が採択され、保存を求める陳情は継続審査となった。ただ、委員からは市が示したトンネルの危険性に関する基準のあいまいさや、地元住民から合意を得るための取り組み不足を指摘する声が相次いだ。
「北鎌倉駅裏トンネル」は、JR北鎌倉駅ホームに隣接する岩塊に素掘りされたもの。同トンネルをめぐっては、岩の剥落が目立つようになったことなどから、地元自治会の代表や学校関係者、地権者らで組織する「安全対策協議会」が昨年12月に結成された。8月に開催された同協議会では、恒久的な安全対策として岩そのものを切り崩す「開削」案が市から提示され、了承された。
こうした動きを受け、地元住民から「慣れ親しんだ景観を守ってほしい」という声が上がり始めた。
昨年末に結成された「北鎌倉史跡研究会」(出口茂代表)は、トンネルの掘られた岩塊は「平安時代から円覚寺の結界として機能しており、史跡としても重要」として、保全を求める活動を展開する。
住民への配慮求める声も
19日まで開会中の市議会12月定例会には、安全対策協議会が「安全対策の早期実現」を求める陳情を、史跡研究会が「トンネルの保存を前提とした補強策の実施」を求める陳情をそれぞれ提出した。
陳情が付託された建設常任委員会では「市は岩塊が崩壊する危険性があるというが、根拠が曖昧」「本当に危険ならば今すぐ通行止めにするべき。説明と行動に整合性がとれていない」「切り崩しても安全とは言い切れないのでは」といった意見のほか「本当に景観と安全対策を両立させる方法はないのか。開削ありきのような市の手法が住民に不信を与え、地域の分裂を招いている」といった指摘が出た。
その後の採決では、1日約1千人の児童・生徒がトンネルを利用している現状を踏まえ「早期の安全対策は必要」「自治会や地権者が合意しており、このチャンスを活かして安全対策を実施するべき」などの意見が出され、安全対策協議会の陳情が賛成多数で採択された。
一方、史跡研究会の陳情は「現状では結論が出せない」とする意見が出され、継続審査となった。
市では早ければ2015年度中に、対策工事を実施したいとしている。
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