由比ガ浜4丁目のテニスクラブ跡地で商業施設の開発計画を進める大和情報サービス(株)(東京都)は1月30日、同計画の「事業廃止届出書」を鎌倉市に提出した。周辺住民の渋滞悪化への懸念が根強いことを受け、現状計画をいったん取り下げた上で見直すという。同社は「規模を縮小し、より地域の皆さんの心配が少ないプランにしたい」としている。
大和情報サービスが昨年2月、市に提出した届出書によれば、由比ガ浜4丁目のテニスクラブ跡地約1万8千平方メートルに、地上2階建て、延べ面積約1万平方メートルの商業施設を建設。スーパーマーケットをキーテナントに18程度の専門店が入居し、地上と屋上部分に320台分の駐車場が設置されることになっていた。工事完了は今年10月末の予定だった。
しかし計画が明らかになると、周辺住民を中心に渋滞悪化への懸念などから、見直しを求める声が上がるようになった。
昨年3月には鎌倉市議会が、渋滞や防災・救急対策が十分にとられない限り、計画を認可しないよう求める決議を全会一致で可決。市議会9月定例会では「周辺は狭隘道路が多く、現在も週末や祝日は自動車や通行人で混雑している。商業施設が完成すればさらに渋滞が悪化し、地域住民が危険にさらされる」として安全確保を求める陳情が提出され、採択された。
また市議会の議論のなかで施設が完成した際の「交通シミュレーション」の実施を求める意見が多かったことを受け、同社は昨年10月に交通量調査を実施。その解析結果は、市に報告した上で住民説明会も実施するとしていた。
同社は「交通シミュレーションの結果は、渋滞箇所を増やすことにはならないというものだった」としながら「現状の計画では地域の理解を得られないと判断した」と事業廃止の理由を説明。いったん計画を取り下げ、敷地や施設の規模、駐車場台数なども縮小する考えを明らかにした。
市まちづくり景観部では「新たな計画が固まった際に、改めて交通シミュレーションの実施を求めていく」とする。今後について同社は「行政とも協議しながら、地域の皆さんの心配がより少ないプランを作成したい。新しい計画の届け出の時期については、現時点では明確には言えない」とした。
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