2020年に開催される東京五輪・パラ五輪セーリング競技の会場が、江の島に決定した。大会組織委員会が進める会場見直しの一環で、スイスで行われた国際オリンピック委員会(IOC)の理事会で承認された。同競技でユース世代のトップを走る地元選手も「一生に一度のチャンス。絶対に出場したい」と意気込んでいる。
IOC理事会が開催されているスイス・ローザンヌから、「江の島開催決定」の知らせが地元に届いたのは6月8日深夜。翌9日には黒岩祐治知事をはじめ周辺自治体の首長、競技団体の関係者らが一堂に会し、「報告会」が神奈川県庁本庁舎で行われた。
挨拶した黒岩知事は「かながわシープロジェクトと題し、官民一体で海の魅力を高める取り組みを進めてきたことが決定につながったと思う。湘南は水がきれいで風も波も潮も良く、何より富士山を望む最高の景観がある。五輪を契機として神奈川の海の魅力、セーリング競技の魅力を発信していきたい」と話した。
地元期待の星が出場へ意気込み
「地元での開催は素直にうれしい。絶対五輪に出たい、という気持ちがより強くなりました」。大町在住の新嶋莉奈さん(15)は、ニュースを特別な思いで受け止めた。
新嶋さんは元プロ選手の父・光晴さんの影響で、6歳からウインドサーフィンを始めた。すぐに頭角を現し、同世代のトップ選手として活躍。昨年は中国・南京で開催されたユース五輪にセーリング日本代表として出場し、7位に入賞した。
6月6日、7日には滋賀県で開催された「琵琶湖マリンカップ」に出場。大学生など年上の選手も多くエントリーするなか女子の2位に入り、10月にイタリアで開催されるワールドカップU-17の代表入りを決めた。同カテゴリーでの出場は最後となるため「メダルを取りたい」と意気込む。
4月に都内の高校に進学し、毎朝5時起きで通学する新嶋さん。それでも授業が終わるとすぐに帰宅し、毎日2〜3時間海に出る。
ワールドカップ後はこれまでのテクノ293級からオリンピックでも使用されるRSX級へと用具を切り替え、五輪への挑戦を本格的にスタートさせる。艇やセールが一回り大きく、操作はより難しくなるため「もっと身長がほしいし、体重や筋力も必要」と積極的にトレーニングにも取り組む。
「江の島と相性はいい」
新嶋さんにとって江の島は、これまで出場したレースでも好成績を収めている「相性のいい会場」。9月末から10月初旬にかけて、江の島で行われるアジア選手権にも出場する予定で、「上位に進出していいイメージを持ってシニアに挑戦したい」という。
「早くRSX級に慣れて、高3のシーズンにはナショナルチームに入ることが目標。ワールドカップに出場し、五輪が狙える位置にいたい」と5年後を具体的に思い描く。知り尽くした湘南の海での大舞台を目指し、持てる全てをかける。
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