NPO法人鎌倉みどりのレンジャーの理事長を務める 山内 政敏さん 梶原在住 52歳
「自然を楽しめる鎌倉に」
○…源氏山公園やハイキングコースなど市内各所で枝払いや草地の刈込、植生調査などの活動を行う「かまくら緑のレンジャー」。4月にNPO法人登録を行い、理事長に就任した。会員は現在約80人。1997年に、市の緑化啓発事業の講座修了生によって任意団体としてスタートした歴史を持つ。「緑の整備は息の長い事業。運営母体がしっかりしたので、市民の皆さんが参加しやすい環境を作ることができれば」と意気込む。
○…愛知県出身。大学で薬学部に進学し、卒業後は製薬会社に入社した。都内を中心に住んでいたが、子育てのために「緑豊かで海のあるところへ」と2000年、鎌倉に移った。しかし、目の当たりにしたのは手入れが行き届かず、荒廃が進む森。「中に入ると薄暗く、台風の時は倒木の危険もあった」と振り返る。
○…「自分にも何かできることはないか」。03年に源氏山で開催された「きこり体験教室」に長男と参加したことが、ボランティア活動のきっかけになった。「地元の人から『子どものころは森の中を走り回っていた』と聞いた。そんな自然を取り戻したい」と緑のレンジャー講座に参加。植生に関する知識や樹木の剪定などの技術を習得し、多くの仲間も得て活動を続けてきた。「先輩たちのおかげで鎌倉の多くの森は宅地開発から守られた。これからは次世代が緑に親しめる仕組み作りが課題だと思う」と自らの役割を明確に捉える。
○…ヨットの魅力を広めるNPOにも所属するなど、鎌倉の自然を満喫している。平日は仕事、休日はボランティアという生活で家族からは「ほとんど家にいない」と言われることも。「たまに休みたいと思うこともありますが、自分が1番楽しんでいるんです」と話すように、地域の人々と自然に触れながらの活動は良い気分転換になっているようだ。「鎌倉には豊かな自然がある。楽しまなければもったいない」。そう言って少年のように笑った。