かつては40近くあった江ノ島電鉄の停留所。1944年に廃止されたうちの一つ「大町停留所」が、このほど由比ガ浜大通りに面した飲食店の一角に再現された。鎌倉由比ガ浜商店街振興組合など地元と運営会社が共同で取り組んだもの。同店のオーナー・後藤仁史さんは「地域のシンボルになれば」と話している。
大町停留所は江ノ電小町駅(現鎌倉駅付近)の2つ先の駅として1907年に設置されたが、1944年に廃止された。
その後、停留所があった土地は東京電力が長く所有し、2011年から13年までは同地区の「まちの駅」として活用されていた。
東電が売却した後は飲食店等を運営する(株)クリエイト・レストランツ・ホールディングス(東京都品川区、後藤仁史代表取締役会長)が同地を取得、カリフォルニア料理を提供する「FARM TO YOU」を今年3月にオープンさせた。
開店準備を進めるなかで後藤さんは、鎌倉由比ガ浜商店街振興組合が設置した「大町停留所」の跡を示す看板を発見した。地元の商店街や自治会と話し合い、同レストラン敷地に停留所を再現することを計画。実際の半分以下の長さながら、ホームを建設することを決めたという。
5月から建設に取り掛かり、6月には停留所の再現が完成。かつての駅と同じレンガ造りで仕上げ、江ノ電の乗降口と同じ高さにすることで、「電車を待つ駅の臨場感が感じられるようにした」と後藤さんは話す。
幼い頃、実際に大町停留所を利用していたという由比ガ浜在住の今田正廣さん(89)は「海へ行ったりするのによく使った。ここに再現されるのは懐かしくて良いね」と穏やかに語る。
「地域活性の拠点に」
8月4日には関係者向けの完成披露会が同店で開かれた。後藤さんは「東京からきた私たちに地元の方たちは良くしてくれた。今回の停留所再現が地域への恩返しとなれば」と話し、鎌倉由比ガ浜商店街振興組合の堀淳一理事長は「由比ガ浜大通りの活性化の一翼を担ってくれることを期待している。多くの人に訪れて欲しい」と挨拶した。
再現された大町停留所はレストラン店内、外部、どちらからも入場可能。夜間は施錠される。問合せは「FARM TO YOU」【電話】0467・40・4481、由比ガ浜2の4の43へ。
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