記者が見た、聞いた、感じた、を伝える あっとほーむデスク 9月11日0:00更新
今回、稲垣麻由美さんに話を聞いた『115通の恋文』は、戦時中に妻が夫に送った手紙が元になっています。「こうした私の心も遠い遠い途をへて、貴方のお手に入るのは何時になることでせう」といった文言が散見されるとおり、当時の軍事郵便は投函後3週間から半年ほどのブランクが空いて、相手方に手紙が届いたそうです。移動を続ける部隊宛に送るのですから仕方がないこととは言え、春の便りを出しても、受け取ってもらえるのは秋かも知れない。携帯電話やメールですぐに連絡が取れてしまう現代からはなかなか考えられない感覚です。
また、連絡を取るのが難しく、生死が案じられる大切な人に対して「お父様、御安神くださいませ」と繰り返し書き伝える心中は、壮絶なものだったのだろうと思います。(塩崎)