三世代交流事業の実行委員長を務める 原 実さん 坂ノ下在住 67歳
「鎌倉の漁師もっと知って」
○…鎌倉市老人クラブ連合会(愛称:みらいふる鎌倉)などが世代間の交流を深めようと地域の子どもたちとその親、高齢者と一緒にゴミ拾いや海の生き物教室などを行う「三世代交流事業」が11月14日に開催される。鎌倉漁業協同組合として協力して4回目となる今回、初めて実行委員長に。「子どもたちにも、大人にも、鎌倉の海の魅力を伝える良い機会になれば」と朗らかに語る。
○…坂ノ下で育った。親が漁師で、小さいころから手伝いをしていたため「海が好きだったし、自然と自分は漁師になるんだと考えていた」と振り返る。中学卒業後、本格的に漁の道へ。エビ漁を得意とし、父親から教わったポイントを身体に叩き込みながら漁獲高をあげていった。20代前半にはエビ漁で右に出るものがいなくなったという。「たくさん捕れると今でも気持ちがいい」と快活に笑う。
○…結婚し子どもを2人もうけたが、「後を継いで欲しい、とは子どもたちに言ってこなかった」。しかし15年前、息子から漁師を継ぎたいと打ち明けられた。「期待はしていなかったけれど一緒にやれると思うとうれしくなったね」とはにかんだように笑う。それを機に、シラス漁に方向転換。今では主に息子が船を出しているという。「船の上では息子は最大のライバル。こっちが多くとれたらにやっと笑ってやるんだ」といたずらっぽい表情を見せる。
○…7年前から鎌倉漁業協同組合の組合長として「鎌倉の漁師」の認知度を上げようと、「三世代交流事業」など地域の様々な催しに携わってきた。「漁港がないからか、親子連れに『鎌倉に漁師がいる』ってことを驚かれることも多い」と話す。「でも、今ここの漁協は若い人がどんどん増えている。県内では一番平均年齢が若いはず。活気ある組合だからこそ、もっと多くの人に地元の漁師に親しみを持って欲しい。漁も海も本当に楽しいから」と穏やかに語った。