神奈川県保育賞を受賞した 蔭山 知実さん 腰越在住 51歳
「笑顔」が仕事の糧に
○…重症心身障害児施設「小さき花の園」(市内腰越)で20年以上、障害児への療育プログラムなどに携わってきたことが評価され、このほど神奈川県保育賞を受賞した。「利用者一人ひとりの笑顔を引き出したくて懸命に取り組んできた仕事。実績を認められてうれしい」と穏やかに語る。
○…横浜市出身。高校生の時、ボランティアで障害児施設を訪れた経験から興味を持ち、短大で保育を学んだ。しかし卒業後は一般企業に就職。24歳で結婚し、26歳で娘を出産した。専業主婦として子育てに奮闘していたが「どうしても子どもの一挙手一投足に注目してしまう。過保護で互いに息が詰まりそうになっていた」と振り返る。そんな時、見つけたのが同園の求人広告。「やりたい事を叶えるチャンスは今だ」。夫に働きたいと胸の内を打ち明けると、すぐに職場近くの腰越に引っ越し実の両親と同居することに。「夜勤など体力面の不安もありましたが、仕事が楽しくて専業主婦時代より調子が良いくらい」と順調なスタートをきった。
○…同園には幼児から大人まで、重度な障害を抱えた利用者が集まる。「見た目が大人でも3歳くらいの知的レベルの人もいる。だからこそ『保育』的な支援が必要」とお遊戯や遠足など季節に応じたプログラムを日々提案する。感情表現が不得意な人には、時間をかけてじっくりと向き合う。「繰り返しアプローチすると好き嫌いが判ってくる。そうやって見せてくれた笑顔は何ものにも代え難い」と優しい表情を見せる。
○…趣味は旅行。社会人クラブチームで陸上選手として活躍する娘の応援を兼ねて国内を巡り、連休は友人と海外に出掛ける。そんな旅先でも仕事が忘れられず、鑑賞したステージに感動すれば「うちの施設にも来て下さい」とその場で交渉することも。「私が楽しかったことを、皆にも感じて欲しい。やっぱりこの仕事が好きなんですよね」と微笑んだ。