結成30周年を迎えた植木リトゥル・エコー・アンサンブルを指導する 勝田 新さん 山ノ内在住 61歳
自由な音色が子どもを変える
○…植木小学校在任中に結成したジャズバンド「植木リトゥル・エコー・アンサンブル」の指導を30年にわたって続けている。小学生だけで編成されるバンドは全国的にも珍しく、地域のイベントのみならずプロとも共演するなど、大人顔負けの演奏で知られる。3月5日には鎌倉芸術館で記念コンサートが予定されており、OB・OG30人と特別編成での演奏も行う。これまで同バンドを卒業したのは約350人にのぼり、なかには親子も。「新旧リトゥルによる演奏を、多くの人に聴いてほしい」と意気込みを語る。
○…鎌倉生まれ鎌倉育ち。大学で教鞭をとっていた父の影響で、中学生のころから教師という職業を意識し始めた。同時期にサックスを始め、主にクラシック音楽を演奏。大学で教育学部へ進み、教員免許を取得した。初めて着任した今泉小学校で、ジャズ好きの同僚とともに児童を巻き込んだバンドを結成。「本格的にジャズに触れたのは初めてだったが、この時に自由な雰囲気の音楽に共鳴する子どもたちの姿を目の当たりにした」という。
○…次に赴任した植木小学校で「植木リトゥル・エコー・アンサンブル」を結成。「当初はパートごとに楽器が一つしかなかった時期もありました」と振り返る。同校を離れた後も指導を続け、土曜日の練習は30年間、1日も休んだことはないという。その原動力は、子どもの成長に触れられること。「ジャズはノリやアドリブを重視する音楽。演奏しているうちに、普段の生活での積極性や自主性にもつながっていくんです」と語る。
○…昨年3月、御成小学校の教頭を最後に定年を迎えた。現在は拠点校指導教員を務め、市内の小学校に着任したばかりの「新人先生」をサポートしている。現役時代と変わらない多忙な毎日を過ごしているが、「今は週2回の練習に参加できるので嬉しい。40年、50年と続けていきたいですね」と笑顔で語った。