「いってらっしゃい、気を付けてね」。子どもたちで賑わう朝の通学路に声が響く。鎌倉消防署深沢出張所近くの交差点に毎朝欠かさず立っているのは、手広在住の江藤健夫さん(76)。6年前から、西鎌倉小学校へ通学する児童の見守り活動を行っている。
きっかけは、町内会のどんど焼きの際に仲間と「防犯や安全に効果がある児童の見守り活動」について話をしたことだった。「故郷の北九州では大人がよく通学路を見てくれていたので、安心して登校できた。子どもにとって身近な大人が手広にも必要なんじゃないか」。そんな思いから、同居する3人の孫の1人が小学校に入学する2010年4月に見守り活動を開始。町内の通学路で、信号機がなく車両の通行が多い交差点をその場所に選んだ。
以来、雨の日も風の日も真っ白なジャンバーを身に着け、交差点に立ち続ける。次第に子どもたちから「江藤さん」と名前で呼ばれるようになり、中学生や高校生、通勤途中の大人からも挨拶されるようになった。「元気がない子には積極的に声をかける。名前を呼ぶと喜んでもらえるので、名前を教えてくれた子は手帳にメモして覚えるようにしている」とコミュニケーションのコツを話す。
「転校する小学2年生の女の子から『ありがとうございました』と手紙をもらったことがあって、うれしかった。そんな子どもたちの明るさが、自分自身も元気でいよう、という力になっている」と江藤さん。活動を始めた時はまだ小さかった孫は今春卒業するが、一番下の孫はまだ1年生だ。「できるだけ長く、子どもたちのために頑張っていきたい」と快活に語った。
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