昨年8月に開削方針が決定したJR北鎌倉駅そばのトンネルをめぐって、保存を求める地域住民らによる運動が活発になっている。市が当初、3月中の工事着手を目指していたためで、市民団体が「安全対策の再検討」を求める要望書を市に提出したほか、北鎌倉で活動するNPOも安全と保存を両立する応急対策を提案。工事差し止めを求める訴訟も始まった。
このトンネルは「岩が剥落し危険」として安全対策が話し合われてきた結果、松尾崇市長が昨年8月、開削工事を実施すると発表した。今年1月には事業者が決定。市は「3月中旬に着手し7月中旬までの竣工を目指したい」としていた。
これを受けて、保存運動を主導してきた「北鎌倉緑の洞門を守る会」(北鎌倉史跡研究会)は3月11日、NPOセンター鎌倉で会合を開いた。前半ではトンネルが掘られた岩塊について、市が「横須賀線開通の際に大規模に壊されている」ことを挙げて史跡としての価値が低いとしていることに対し、1882(明治15)年に作成された地図などをもとに「岩塊は壊されていない」と反論した。
その後は同会が2月に提出した住民監査請求について弁護士が解説。「事実を協議する場を設け、保存・安全対策の再検討を求める」要望書を採択し、3月14日、市に提出した。
また同じく3月14日には、北鎌倉まちづくり協議会(守屋弓男代表幹事)が「利用者の安全確保と景観・史跡の保存はどちらも尊重されるべき」として、ライナープレートと呼ばれる鋼板で洞内を補強する応急対策を市に提案した。
同会では「工費が安価なうえ、トンネル地肌に手を付けることなく安全対策が実施できる」としており、施工後は監視モニターの設置などによる落石調査の継続も提案している。
さらに開削工事の差し止めを求めて市民22人が横浜地裁に起こした裁判の第1回口頭弁論が3月23日に行われ、原告3人が意見陳述した。第2回口頭弁論は6月1日(水)に開催される。
市道路課は3月27日(日)午後2時から、山ノ内公会堂で住民説明会を予定しており「安全対策に開削が必要という考えは変わらない。住民の皆さんにきちんと説明していきたい」とし、工事着手の時期を「4月4日以降に」とした。
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