松尾崇市長は4月15日、臨時の記者会見を開き、生活福祉課が生活保護費として保管していた現金約265万円が何者かに盗まれたと発表した。市は昨年9月、鎌倉警察署に被害届を提出しているが、いまだ犯人の特定にはいたっていない。内部調査や警察の捜査の過程で、ずさんな事務処理が明らかとなっており、松尾市長は「市民に申し訳ない」と謝罪。自身を含めた管理責任や処分について5月中に明らかにするとした。
盗まれたのは2010年度から14年度のあいだに、5世帯に支給されるはずだった生活保護費265万2397円。
現金は生活福祉課のキャビネットに保管されていたが、昨年8月20日に厚生労働省の実地指導監査のために職員が確認作業を行ったところ、一部がなくなっていることが分かった。
市は内部調査を行い、現金の入った封筒が開封され、再度閉じられた形跡があったことから9月16日、鎌倉警察署に被害届を提出。関係者以外入りづらい場所にあることなどから、市職員の関与も視野に捜査が進められている。
ずさんな事務処理
生活福祉課は、毎月5日に生活保護費を支給。口座振込も行っているが、生活状況の聞き取りなどもかねて、窓口での手渡しも行っていた。
本来、市役所内における現金のやり取りは、会計課や各課にいる現金出納員の立会いが原則だが、それ以外の職員が行うのが常態化していた。
また、支給日に何らかの理由で受け取ることができなかった人の分について受給者を装って領収書を作成し、現金を課内のキャビネットに保管。後日来た時にわたすという処理が06年から続けられていたという。
市の内部調査では、こうした事務処理を経験したことのある職員は同課の7割に上った。
現金は名前と該当月が書かれた封筒に分けて置かれていた。キャビネットは鍵がかけられていたものの、多くの関係者がその場所を知っており、いつでも開けられる状況だったという。
保管されていたのは昨年8月に発覚した時点で、50世帯分513万9千円(当月渡せなかった分も含む)。このうち、抜き取られていたのは、いずれも海外に転出したり、就職をして受給資格が停止した人のものだった。
なかには受給者が入院したにもかかわらず、職員が病院へ届けたり振込に変更するなどの手続きを怠り、キャビネットに保管しつづけてそのまま死亡した例もあった。
松尾市長は会見で、「被害金額については地方自治法及び民法に基づき関係職員に賠償を求めるほか、5月中に、自身を含めた管理責任のあり方や今後の対応について発表する」とした。
(4月20日起稿)
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