鎌倉市が保存活用を決めている市内御成町の旧町立図書館について、耐震性が著しく不足していることが分かった。市は今後、約2億5千万円かけて改修する方針だが、報告を受けた市議会議員からは異論が相次いだ。
市は9月1日に開かれた市議会総務常任委員会協議会で、1月末から8月下旬に実施した旧町立図書館の耐震診断の結果を報告した。
それによれば、同施設の上部構造評点の最小値は0・09で、「震度6強の揺れで倒壊の可能性がある」とされる0・7を大幅に下回る状態であることが明らかになった。これを受け市は、建物外観の復原や耐力壁の設置、控壁の新設などを行う大規模な改修案3つを提示。いずれも約2億5千万円がかかる見込みとなっている。改修後は子どもの家・子ども会館として活用する方針だという。
これに対し、市議会議員から「もっと低予算で立派にできた児童施設が他にある。これだけのお金をかける必要性があるのか疑問」「ここはまだ景観重要建築物には指定されていない。保存するということは近いうちに指定する予定なのか」など、疑問や質問が出され、市は「改修に合わせ景観重要建築物への指定は計画している」と答えた。
同施設は1936年に篤志家・間島弟彦が資金を提供して建設された。74年に中央図書館が完成した後は教育センター事務局などが入居していたが、老朽化の進行が指摘され、市は2014年に解体を決定。これに反対した市民団体などが「歴史的、文化的価値が高い建造物」として保存を求める活動を展開。その一環として実施した専門家による調査で「構造的に安定している」と結果が出たことなどを受け、市は昨年9月に保存・活用の方針を明らかにしていた。
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