鎌倉を訪れる外国人観光客が急増するなか市は今年度から、NPO法人と協働で店舗がメニュー等を「多言語化」する支援をスタートさせた。6月には専用サイトを開設。「おもてなし力」を高め、外国人リピーターの増加を目指している。
「フード鎌倉」(https://foodkamakura.com/)は主に飲食店を対象に、メニュー等を英仏伊中韓など6カ国語に翻訳できる多言語化支援サイト。6月1日に開設され、おもてなしのヒント等を掲載するほか、多言語に対応する店舗の紹介なども行っている。
このサイトを運営、市と協働で多言語化支援を行っているのが、NPO法人JIAOLIU(ジャオリュウ)鎌倉(市内笛田、新井純子代表)だ。 同団体は通訳・翻訳の専門家らによって3年前に発足。外国人向けに観光ガイドや文化体験プログラムなどを行ってきたが「外国人客は明らかに増えているのに、対応する動きは遅いと感じていた」(新井代表)という。そこで昨年、同事業を市に提案し、協働での実施が決まった。
外国人5年で2倍
市によれば2015年に鎌倉を訪れた外国人は約50〜60万人。これは10年の約23万人に比べて2倍以上となっている。
ただ、これまで多言語対応は基本的に店舗が主体。いち早く取り組んだ結果口コミサイトなどで高評価を得て、集客を伸ばす店舗がある一方で、全く手つかずの店も多い。市観光商工課は「おもてなし力を高めて、リピーターにつなげるためにも、より地域に密着したきめ細かいサービスが必要と考えた」と事業開始の理由を話す。
物販店にも支援拡大
ただ、サイト開設から約4カ月が経過したものの、現在までに同団体にメニューの翻訳などを依頼した店舗は20店ほどにとどまる。
そこで同団体は、サイトを紹介するチラシを配布するなど、PRに力を入れる考え。また飲食店だけでなく、今後は物販店などにも支援を広げるという。
そうした支援先の一つが御成町の印章専門店「鎌倉はんこ」。同店では、自らデザインしたハンコをその場で作るサービスを実施している。代表の月野允裕さんは「外国人にも受けるはず」と自ら翻訳ソフトを利用し、店舗前に英語の看板を設置してきた。
しかしこれまでの反応は「イマイチ」。そこで同団体に相談し、文章の改善点のほか「欧米はサインの文化。日本におけるハンコの位置づけそのものを伝えた方がいい」などのアドバイスを受けた。
月野代表は「店の前を多くの外国人観光客が通っている。需要を取り込んでいきたい」と話した。
多言語支援事業に関する問い合わせは同団体【電話】0467・32・9217、【メール】contact@jiaoliu.jpへ。
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