「ニューヨーク鎌倉会」代表幹事を務める 篠崎 晃さん 極楽寺出身 79歳
「故郷が結ぶ縁大切にしたい」
○…「人種のるつぼ」と呼ばれ、100以上の言語が飛び交う米・ニューヨークにこの夏、鎌倉をルーツとする人々からなる会が発足した。発起人として立ち上げに奔走し、9月15日には現地で初の集まりを開いた。「ほとんどの人は初対面だったのですが、住んでいた場所や卒業した学校、はたまた天ぷらだったらどの店が美味いかまで、とにかく話が尽きませんでした。このまちでこんなにローカルな話ができるなんて夢のよう」と微笑む。
○…極楽寺出身。大学卒業後に三井物産へ入社し、1964年にメキシコ、69年にNYへと赴任した。その後数年間、日本での勤務を経て80年に再びNYへ。日本に戻る話もあったが「子どもたちもなじんでいたから」とアメリカに留まることを決断した。現在は母校・上智大学の現地オフィス代表として、各地の兄弟校との提携事業や学生インターンシップのコーディネートなどに携わる。
○…7月の初め、あるパーティーで50歳近くも年下の女性と出会い、年の差を超えて意気投合した。「不思議なことに彼女とは何か話し足りない気がした」と、くだんの女性、脇田玲子さんと後日改めて会うことに。すると互いに鎌倉出身、しかも国大附属小のOB・OGであることが分かった。「30年以上NYにいて、鎌倉の人と会ったのは初めて。驚くとともに、言葉にはできない懐かしい気持ちが胸に広がりました」。すぐに「鎌倉会」のアイデアが浮かび、脇田さんとともに地元紙やSNSを通じて参加を呼び掛けると、あっという間に30人が集まった。
○…会では今後も年に数回の集まりを開く予定。「日本の常識はここでは非常識。大きなプレッシャーと闘っていると、ふと浮かぶのが故郷の風景であり、そこでの記憶なんです。今回それを共有できる人たちと出会えたことは本当にうれしい。この絆を大切にしていきたい」。そういうと満面の笑顔を見せた。