関東大震災の発生から94年となる今年。9月1日の「防災の日」に合わせ、市中央図書館では9月2日(土)から4日(月)まで、特別展「関東大震災―空からの記録を読む」が開催される。また市職員有志で結成された「NAMAZUの会」は関東大震災の被害記録をまとめた『新編鎌倉震災志』を発表した。関係者らは「鎌倉における震災被害を知ることで、自身の防災に役立ててほしい」と話している。
写真で振り返る被害
9月2日から4日まで、市中央図書館3階多目的室で開催される特別展「関東大震災―空からの記録を読む」では、関東大震災の直後に被害地域を空撮した写真を中心に展示する。
全24点のうち6点が鎌倉、その他も湘南や三浦エリアで撮影されたもの。現在の地形図や地図と当時の写真を並べることで、被害の状況を分かりやすくしているという。
また会期中は毎日、トークイベントを開催(各日午後1時30分から2時30分まで)。同館近代史資料室の平田恵美さんや横須賀市自然・人文博物館の元学芸員、蟹江康光さんらが展示の資料などをもとに解説する。申し込みは不要で各日20人定員。同館担当者は「関東大震災の被害を検証することで、現代の防災について考えるきっかけになれば」と話している。
展示は午前9時から午後5時(入場は4時30分)までで、最終日は3時閉室。入場無料。詳細は【電話】0467・25・2611同館へ。
被害記録を「現代語訳」
市職員有志で結成された「NAMAZUの会」(浪川幹夫代表)は今年7月、鎌倉における関東大震災の被害をまとめた『新編鎌倉震災志』を出版した。
同会は2004年、新潟県中越地震の被災地に派遣された建設部の職員と古建築を調査していた文化財部の学芸員らが中心となり「鎌倉での過去の震災被害を研究し、防災に活用しよう」と発足した。
特に重要な資料となったのが、当時の鎌倉町役場が1930年にまとめた『鎌倉震災誌』だった。
しかし一般の人にとっては難解な内容だったため、同会では文体を分かりやすくして08年に『新版鎌倉震災誌』を完成させた。
この時はわずかな部数を印刷しただけだったが、図書館で閲覧できるようにしたところ、「書籍として出版して欲しい」という声が上がるようになった。
その後、鎌倉同人会の後押しを受け、書籍化が決定。地名をできるだけ現在使用されているものに書き換えるなどの改訂を進め、当時の写真や体験談、地質・地盤、その後の復興状況、江戸時代に発生した震災などの資料も追加し、『新編鎌倉震災志』が完成した。
浪川代表は「建築士や学芸員、事務員など幅広い専門家7人で作ったので、正確性には自信がある。実際に鎌倉に起きた被害と復興の道筋を知って、自身の防災対策に生かしてほしい」と話している。
『新編鎌倉震災志』は冬花社発行、296ページで税別1800円。市内書店で購入可能。問い合わせは【電話】0467・23・9973冬花社へ。
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