鎌倉市は9月7日、国土交通省が新たに設けた「観光交通イノベーション地域」に選定された。これは同省が中心となって渋滞解消に向けた実証実験などを先駆的に実施することで、魅力ある観光地を創造しようという取り組み。市内では今後、人工知能(AI)などの最新技術も活用しながら、ロードプライシングの実施に向けたデータ収集が行われる。
観光交通イノベーション地域は、8月2日から21日までの期間で公募が行われ、鎌倉市は京都市とともに「エリア観光渋滞対策の実験実施地域」に選ばれた。
今後は国交省が中心となって実験協議会が設置され、鎌倉市内でロードプライシング(地域内を走行する自動車に一定の課金をすることで、通行量を抑制する仕組み)の実施に向けたデータ収集が、今秋以降に行われる予定だ。
実験にはAIを搭載したカメラなどを使用。流入台数や通過交通量の把握のほか、ETCを装着した車両の割合といった項目について、長期的な調査を行う。最新技術の活用により、渋滞発生のパターンなども解析するという。
課金で交通量抑制へ
年間2千万人以上が訪れる観光地ながら、中心部に通じる道路が限定される鎌倉市では、休日を中心に渋滞が発生し、市民生活に大きな影響を与えてきた。
そうしたなかロードプライシングは、1996年にまとめられた「鎌倉地域の地区交通計画に関する提言」が示した「20の施策」に盛り込まれるなど、有効な渋滞対策の一つとして早くから注目を集めてきた。
2012年には市民や商工業者、学識経験者、行政関係者らによる「鎌倉市交通計画検討委員会」が発足。同委員会が15年3月に発表した「鎌倉地域の地区交通計画に向けた中間とりまとめ」では、検討の必要性に改めて言及した上で「対象日はすべての土日祝日など年間120日程度」「市外から流入する車両を1とした場合、市民の負担割合は0〜0・1程度」など、制度導入に向けた具体的なイメージも提示された。
松尾崇市長は選定を受けて「今回の実証実験を足掛かりにして、渋滞解消に大きな期待ができるロードプライシングの実現に向けて積極的に取り組みたい」とコメントした。
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