60歳以上の高齢者による編成ながら、オペラや宗教曲などの難曲を次々と演奏し、話題を呼んできた「鎌倉混声合唱団『ムジカおさらぎ』」。このほど設立から30年の節目を迎え、4月14日には記念演奏会が鎌倉芸術館大ホールで行われた。
第1部では「ふるさとの四季」と題し『故郷』『春の小川』といった唱歌を、第2部では『美しく青きドナウ』(J・シュトラウスII)などを披露した。
そしてこの日のメーンは、モーツァルト晩年の傑作『レクイエム』に挑んだ第3部。1時間近い大曲を、オーケストラ、ゲストのプロ声楽家とともに堂々と歌い上げると、満席の会場から大きな拍手が沸き起こった。
当初から指導を続ける指揮者の佐藤ゆりさんは「5年前から定期演奏会に数曲ずつ入れるなどして準備を進めてきた。30年前を思うとこのような曲ができるようになるとは思わなかった」と感慨深げ。在籍して10年という信國祐介さんは「入団まで音楽の経験は全くなく練習は大変だったが、周囲の皆さんに引っ張られやり遂げることができた」と振り返った。
平均年齢78・4歳
1988年に市内で開催された「高年者合唱教室」の参加者らが中心となって発足した同合唱団。現在団員は285人、平均年齢は78・4歳になる。
社会貢献にも積極的に取り組み、94年以降は定期演奏会のたびに来場者や団員から寄付を募ってきた。こうして集まった浄財は、あしなが育英会や横浜YMCA対人地雷をなくす会のほか、東日本大震災、熊本地震の復興支援にあてており、総額は1500万円に迫る。
戦争体験まとめる
また同合唱団では、30周年に合わせて『平和への願い』と題した記念誌を制作。229人が戦争体験をつづった。
佐藤さんは「団員のなかには、明治神宮で行われた学徒動員の出陣壮行会に参加した人もいる。戦争を経験した方から直接お話を聞くことができる今だからこそ、記録を残すべきだと感じた。今日の『レクイエム』を平和の礎になった全ての人に捧げたい」と話した。
記念誌は希望者に500円で配布中。記念誌や入団についての問い合わせは【電話】0467・25・4624佐藤さんへ。
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