高齢者や障害者でも旅行を楽しめる「ユニバーサルツーリズム」を促進しようと、観光庁が行っている実証事業に、由比ガ浜の(株)i―link―u(アイリンクユー)が企画したツアーが選定された。武士姿で参加者をサポートしながら鎌倉を案内する内容で、スタッフは「観光だけでなく地域の人との触れ合いも楽しめるものにしたい」と話す。
「鎌倉武士が案内する鎌倉ガイド」が、全国の5団体とともに観光庁の「ユニバーサルツーリズム促進に向けた実証事業」に選ばれた(株)i―link―uは、障害者・健常者の枠を超えた出会いを提供するユニバーサルな街コン「ユニコン」や、アウトドアイベントなどを企画してきた。
昨年11月にはバリアフリーのゲストハウス「彩」を由比ガ浜にオープン。運営には足が不自由だったり吃音、場面緘黙などのハンディをもつスタッフが参加している。
「イベント企画やゲストハウスを運営する中で、障害があっても観光を楽しみたいというニーズは多いと感じていた」と高野朋也代表。その一方でバリアフリー化や訪問先の受け入れ体制等が不十分なことから「自分たちでサポートしながら観光をしてもらおう」と考えていたところ、同事業を知り、応募したという。
ノウハウ生かす
同社が企画したツアーは、武士姿のスタッフが名所のほか、ガイドブックであまり紹介されない地域の寺院等を案内するもの。介護タクシーを活用することで、障害者でもストレスなく移動できるなど、日頃の活動の中で得たノウハウを生かす。
またツアーの売りの一つを「武士姿で案内する」としたのは、高野代表自身が日常的に武士の格好をしているため。「日本は人と違うことが生きづらい国。だからこそ当社の合言葉は『KEEP Different』。人との違いも面白いと思えるよう、まずは自分から変わってみよう」と2年半前から始めたという。
そのインパクトのある姿は外国人だけでなく、日本人にも好評。「子どもが寄ってきたり、会話が自然と生まれたり、人と話す良いきっかけになっています」と笑う。
同社では来年2月末までにツアーを完成させ、販売を開始する予定。すでにモニターツアーを行っており、内容の精査やスタッフの対応力向上、地元との関係づくりを進めている。「ハンディがあるスタッフがいる当社だからできることがあるはず。障害を理由に諦めていた人にも、鎌倉観光を楽しんでもらえたら」と高野代表は話している。
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