いよいよ決戦の号砲が鳴る―。11月の県大会で初優勝し、悲願の「都大路」への切符を掴み取った鎌倉学園が12月23日、京都市内で開かれる全国高等学校駅伝競走大会に出場する。同校の保田進監督が駅伝チームを結成してちょうど40年目。保田監督は「本番では気負わずに上位入賞を目指したい」と力強く語る。同校のグラウンドでは、選手たちが明後日に迫った大会に向け、走り込みを続けている。
「もっと前に行く気持ちを持って」「背中を伸ばして走るんだぞ」。
大会を目前に控えた鎌倉学園の第2グラウンドでは、調整を続ける選手たちに保田監督の檄が飛んでいた。
11月4日、山北町丹沢湖周回コースで開催された第71回神奈川県高校駅伝競走大会に出場した同校は、7区間42・195Kmを2時間9分49秒で走り抜き、2位に49秒差を付ける圧巻の初優勝を成し遂げた。
これまで県大会で準優勝すること13回。夢の「都大路」へあと一歩届かずにいた同校にとって、保田監督が着任し、駅伝チームが誕生してちょうど40年目での悲願達成となった。「今年は個々にポテンシャルの高い選手が揃っている。県大会ではそれをいかんなく発揮してくれた」と保田監督は振り返る。
あのOBも激励
保田監督によると今月初旬、あるOBから激励のファクスが同校に届き、選手たちを驚かせた。
送り主は歌手で俳優の堺正章さん。堺さんは鎌倉学園在学中、同部で短距離の部員として活躍した。保田監督は「大きな大会の際には、よくメッセージを送ってもらっている。『がんばってください』と書かれたファクスで、部員たちはとても喜んでいた」という。
一層士気の高まった選手たち。主将を務める河崎元紀さん(3年)は「チャレンジ精神を持って、一つでも上の順位を目指す。県内の高校陸上競技者の思いを背負って戦いたい」と意気込む。
スタートは23日、午後0時30分だ。
チーム牽引する2年生児玉さん、力石さんに期待
11月の県大会では出場した7人のうち、1、2年生が6人を占めた鎌倉学園。彼らの活躍が快挙達成に大きく貢献した。
12月14日現在、本番の出場選手の選考について保田監督は「調整中」と話すが、全区間中最長(10Km)で各校がエースを送り込んでくる「花の1区」には、10月に5000mで11年ぶりとなる県高校新記録を樹立した児玉真輝さん、1区に次いで長く、上り坂の多い3区(8・1075Km)には、県大会でも力走を見せた力石暁さんといういずれも2年生の起用を決めているという。
保田監督は「児玉が上手く走ることができれば、後は良い流れができる」と期待を込める。
本番を前に児玉さんは「チームとしてこれが初の全国大会。失うものは何も無い。気負うことなく、全力を出し切りたい」、力石さんは「県予選でも全国大会でも、自分のやることは変わらない」と気合十分。
全国に「カマガク」の名を轟かせる―。
60位からのスタートチーム1期生が語る
トラックを走り込む選手たちを、特別な思いで見つめる人がいる。保田監督が立ち上げた同部駅伝チームの1期生で、3年時には主将も務めた杉田勝敏さん(54)だ。
「初めての県大会では87チーム中60位。それが鎌学駅伝チームの始まりだった」と振り返る。
卒業後もほぼ毎年、県大会の沿道に立ち、選手に声援を送り続けてきた。今年はゴール前で勝利の瞬間を見届け「集まったOB仲間とともに、保田監督を胴上げした」という。「保田先生は私たちに駅伝の楽しさを教えてくれた。その先生を全国大会に連れて行き、OB全員の悲願を達成してくれた後輩に感謝したい」。
京都を駆ける選手の雄姿を見守るため、都大路にも、もちろん応援に行くつもりだ。
鎌倉版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|