元日に獅子舞が町内の家々を回り、家内安全や健康を願う「初獅子」。市内小袋谷ではこの伝統が、昭和初期から受け継がれてきた。その中心となっているのが、地元囃子会の若手たちだ。今年も朝から町内に繰り出し、勇壮な舞で新年を祝う。
初獅子を行っているのは小袋谷囃子会。平井恒会長らによると、同地区で初獅子が始まったのは1931年の正月。第2次世界大戦の影響で休止を余儀なくされた時期もあったが、地域住民たちの強い要望で49年に復活。以後、現在まで受け継がれてきた。
今年も元日午前9時から獅子2頭が二手に分かれ、一日がかりで町内の200軒以上を回って舞を披露する。
「舞う楽しさ伝えたい」
同会で伝統の継承を中心となって担っているのが、30〜40代の若手会員だ。「獅子頭を被って舞い続けると、冬でも汗びっしょりになる。それでも毎年楽しみにしてくれている皆の笑顔が見たくて続けている」。そう話すのは中村知之さん(43)と中尾潤さん(45)。
「町内の人が協力してつくり上げていて面白そう」(中村さん)、「ほかの地域ではできない貴重な経験」(中尾さん)といずれも2、3年前から活動に参加している。
また太鼓を担当し「狂い獅子」を景気良く盛り上げている中村愛理さん(31)は5年前に入会。18歳で詩吟を始めるなど、もともと和の文化に興味があったといい「初獅子を通じて地域の人との出会いが増え、交流が深まるのが楽しい」と話す。
同会は普段、小袋谷公会堂で練習を重ねている。現在では毎年の初獅子だけでなく、夏祭りや秋の郷土芸能大会などでも舞や演奏を披露している3人。中村知之さんは「獅子舞の魅力は、自由自在に舞う楽しさ。『伝統芸能は敷居が高すぎて参加しにくい』という若者が多いからこそ、たくさんの人に魅力を伝えていきたい」と意気込みを語る。
平井会長は「市内でも初獅子を行っている地域がほとんどないなかで、若手が伝統を守ってくれて心強い」と話していた。
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