鎌倉市教育委員会はこのほど、絹本著色五百羅漢図(円覚寺所有)や大倉幕府周辺遺跡群から出土した鉄製籠手(鎌倉市所有)など4件を2018年度の鎌倉市指定文化財に指定すると発表した。
新たに指定された4件の市指定文化財は、昨年11月に開催された市文化財専門委員会の諮問に対し、今年1月29日に答申を受け、市教育委員会2月定例会で議決された。
今回の指定により、市内の指定文化財は国宝が15件、国指定重要文化財等が201件、県指定重要文化財等が66件、市指定文化財が325件で合計607件となった。
絹本著色五百羅漢図
円覚寺の住持の求めで、絵師・狩野養川惟信が1783年に描いた絹本著色五百羅漢図。仏教修行の最高段階に達した人、供養すべき人という意味の羅漢が、一幅に10人描かれている。全五十幅で500人の羅漢を描いた大作。作られた時代によって異なる図が存在し、そのうちの一幅が本図だ。「依頼者や画家、年代が判明している重要な作例」と評価された。
鎌倉彫屈輪文三足卓
猫の足のような三脚を持つ「卓(しょく)」と呼ばれる小型の机。仏前や儀式のための調度品として作られたと考えられている。全体は黒、文様部は朱の漆で塗られ、天板の側面には「屈輪(ぐり)」と呼ばれるカールした文様が施されている。脚の部分などに仏像を造る際の技術が見て取れる。
本覚寺文書聖教
本覚寺に伝来する中世の文書と仏教の経典。室町時代以降、鎌倉で町衆の信仰を集めて急速に発展してきた寺院が、小田原北條氏の強力な保護を得ながら栄えたことが示されている貴重な資料。
大倉幕府周辺遺跡群出土の鉄製籠手
鶴岡八幡宮から東へ約630m離れた「大倉幕府周辺遺跡群」で、2011年から翌年にかけて行われた発掘調査で発見された。15世紀前半ごろ製作されたものと推定。中世の籠手の出土は希少で、武家の政権都市だった鎌倉の社会や文化を物語る遺物だという。
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