鎌倉のとっておき 〈第68回〉 旧横浜居留地48番館
横浜にある神奈川芸術劇場の壁に「旧横浜居留地48番館」と書かれたパネルがはめ込まれている。左側には白壁の建物があり、ガラス窓の中をのぞくと赤いレンガ造りの遺構だということが分かる。
これは1883年に建てられた「モリソン商会」の建物で、1923年の関東大震災で倒壊しながらも一部が残った。
上海でお茶の検査官をしていたスコットランド生まれのジェームス・ペンダー・モリソン。紅茶やダイナマイトの輸入などで、大きなビジネスを展開していたモリソン商会の経営者だ。彼は横浜にクリケット同好会を結成。横浜カントリー&アスレチッククラブの前身であることが、同クラブのホームページで紹介されている。
モリソンは、鎌倉の材木座に「モリソン屋敷」と呼ばれる広大な住居を所有していた。モリソン屋敷も関東大震災で全壊し、その後、再建された。そして紆余曲折を経て、1953年9月27日日曜日、改進党総裁重光葵が住んでいるモリソン屋敷が舞台となり、総理大臣・自由党総裁吉田茂との会談が行われた。
この会談は各紙が一面はもちろんのこと、多くの紙面を割いて報道した歴史的な政局であった。
三品利郎
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