新型コロナウイルスを原因とする肺炎患者の拡大を受けて鎌倉市は1月30日、対策会議を開催し、市民に対する相談窓口の周知や予防措置の徹底など、今後の対応を確認した。一方、近年は年間20万人近い中国人観光客が鎌倉を訪れており、事態が長引けば地域経済に影響が広がることも懸念されている。
この日の会議で市は、今後の対応策として【1】市民に対する情報提供の徹底【2】市民向け相談窓口の周知【3】職員に向けての注意喚起と窓口職場におけるマスクの着用励行【4】アルコール消毒液の窓口への配置【5】市内公共施設、関連団体への新型コロナウイルスに関する情報提供、などを実施することを確認した。
これを受けて市は同日、ホームページに加えてLINEやツイッターなどのSNSを通じて、うがい、手洗い、消毒などの徹底を呼びかけた。
市民向け相談窓口の一つとなっている鎌倉保健福祉事務所には、報道が過熱するようになった1月下旬以降、1日10件程度の相談や問い合わせが寄せられているという。
内容は「感染しているのではと不安。検査はどのように受けたらよいのか」といった市民からの相談が多いが、医療機関から実際に患者が発生した際の対応について、飲食店など事業者から感染予防策についての問い合わせもあるという。
現状では武漢市などから、観光客が鎌倉を訪れていたかについて市は「把握していない」とする。2月3日の定例会見で松尾崇市長は「事態の推移をみて、今後も必要な対策をとっていく」と話した。
中国人観光客減の影響は
2018年に市が実施した実態調査によれば、1年間に鎌倉市を訪れる外国人観光客は約63万人。国別では中国が約17万人を占めて1位となっており、2位の台湾(7万6千人)、3位のアメリカ(6万8千人)を大きく離している。
鶴岡八幡宮近くの和食レストランでは、中国政府が団体ツアー旅行の禁止を発表すると、予約のキャンセルが相次いだという。「1〜2月はもともと鎌倉では閑散期。ここ数年、春節の時期に訪れる中国人観光客が多くなっていただけに打撃は大きい」とする。
鎌倉市観光協会によれば、同協会がJR鎌倉駅前に開設している観光案内所を、春節が始まった1月24日から2月2日までに訪れた中国人観光客の数は598人。春節を起点とする19年の同時期(2月4日〜13日)の670人に比べると減少しているものの、18年(2月15日〜24日)の331人をすでに上回っているなど「昨年とほぼ同程度か微減」の見込みとなっている。
同協会では「例年の春節に比べると中国語圏の人が少ないが、もともと案内所の利用者は個人旅行の人が多いこともあり、中国人客が極端に少なくなっている印象はない」とする。
また、鎌倉商工会議所は1月30日、市内企業向けの相談窓口を設置したが2月4日現在で問い合わせ等はないという。
同会議所の職員は「鎌倉はもともと宿泊施設が少なく、他の観光地などと比べるとまだ影響は小さいように感じられる。ただ事態が長引けば、影響が広がるかもしれない」とする。
鎌倉版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|