市内大船の医師がこのほど、車両を利用した「移動型PCR検査」を始めた。新型コロナウイルスへの感染が疑われる人で、高齢者など検査場に行くことが難しい人を対象に医師自ら訪問して検査する仕組み。施設での集団感染の際に迅速な検査が可能になるほか、救急隊員の負担軽減につなげる狙いもある。
独自のPCR検査を始めたのは「湘南おおふなクリニック」院長の長谷川太郎医師(51)。緊急事態宣言が発令されて以降、市内総合病院でのPCR検査に立ち会うなどしてノウハウを学んだ。
そうしたなか、千葉県鎌ケ谷市医師会が、国内初となるPCR検査ができる車両を導入したことを知ると、すぐに軽自動車を購入。車両後部に透明なパネルを設置し、車内にいる医療従事者が3重にしたゴム手袋を通して、屋外にいる検体を採取できるよう改装した。
検査対象は医院から16Km圏内に住み、感染が疑われる人で、高齢者など外出が困難なケース。同クリニックに連絡後、長谷川医師が検査の有無を判断し、保健所に了解を得られれば、24時間以内に訪問。午後3時までに医院に検体があれば検査機関が回収、翌日結果が分かる。他の医院や保健所からの依頼にも対応しており、5月下旬から運用開始し、6月9日時点で5人を検査。結果は全て陰性だったという。
高齢者施設で訓練
5月30日には、有料老人ホーム「エルダーホームケア西鎌倉」で検査訓練を実施。入居者が集団感染した場合を想定し、長谷川医師が搬送の仕方や防護服の脱ぎ方といった手順を施設スタッフに指導した。
訓練に立ち会った鎌倉市医師会理事の宮下明さんは「個人医で車を使ったPCR検査は全国的に珍しい」と話す。
長谷川医師は「クラスターによる感染拡大の防止や、救急隊員の負担軽減にもつながってほしい」と語る。
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