鎌倉ガイド協会の新会長 石渡 孝二さん 80歳
みなぎる責任感
○…観光地・鎌倉を案内するガイド協会会長を5月から務める。協会のメンバーは総勢128人、年間2万人を相手に寺社を紹介してまわる。千客万来に「忙しいんだよ」と笑いつつも、「他の街のガイド協会からうらやましがられるほど史跡があり、やりがいは十分」と話す。
○…2020年の年明けまでスケジュールが立て込んでいたガイド協会だが、新型コロナによって一転、ガイド利用者はゼロとなった。毎月10回ほど実施していた協会主催の『古都鎌倉史跡めぐり』を休止に。それに伴い、個人、修学旅行生などの団体へのガイドも受けていない。「収入がなくなり厳しい状況だが、協会を存続させるべく会長職を全うしたい」
○…市内大町で生まれ、第一小、第一中、鎌倉高へ。戦前から戦後にかけた少年時代は野球に没頭する傍ら、野菜づくりを手伝い家庭を支えた。「あの時代を生き抜き、ハングリー精神は培われたかな」と懐しむ。高校卒業後は銀行などで働き、その後、一般企業の役員も歴任した。
○…現在は夫婦で横浜に暮らす。「毎日が日曜日」となった退職後は、故郷への奉仕をスタート。鎌倉検定2級に合格し、ガイド養成講座を受講して69歳でガイド協会へ。「鎌倉の歴史を知ってもらい、楽しい思い出を持ち帰ってもらいたい」。小学生が歩道からはみ出ると怒鳴ることもあるが、それも無事に帰すため。ガイドへのお礼の手紙が届くと「うれしいよね」と頬を緩める。
○…ガイド協会主催のツアーは秋から冬の再開を期待している。来年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に備えては、ガイド特別班を新設し、ゆかりのコースを作っていく。コロナ禍の協会再浮上へ、「知力、体力を尽くします」。