市内山ノ内出身の日下(くさか)太平(たいへい)さん(19)が、きょう8日からフィジーで開催される「ワールドラグビー パシフィック・チャレンジ2019」に出場する、ジュニア・ジャパンのメンバーに選出された。現在は国内では珍しい高卒選手として名門・神戸製鋼コベルコスティーラーズに所属。今年1月に待望のトップリーグデビューを果たすなど、順調なステップアップを遂げており「夢はW杯出場。まずは今大会で優勝に貢献したい」と意気込む。
「ジュニア・ジャパン」は、日本代表を目指す若手選手から選抜されるもの。日下選手は昨年に続く選出で「桜のジャージー」にそでを通し、サモアやフィジー、トンガといった強豪国の若手チームと対戦する。
前回は出場機会がなく、チームも2位で終わっただけに「自分が優勝させたい」と熱が入る。
ポジションは、CTB(センター)。攻撃時はパスでチャンスを広げ、自らラインを突破する。守備ではトップスピードで向かってくる相手にタックルすることも多く、スピードや判断力だけでなく、強靭な足腰が必要な「攻守の要」だ。
ラグビーとの出合いは3歳の時。当時から体が大きく、「いつも走りっぱなし。ずっと動いていたかった」という。
「有り余るエネルギーを発散させたかった」と経験者の父・州平さんが連れて行ったのが、発足から40年以上の歴史を持ち、リオ五輪女子日本代表・谷口令子選手も輩出している鎌倉ラグビースクールだった。
ただ当時はラグビーに全く興味がなく、「グラウンドに絵を描いたりして遊んでばかり。練習前はいつも雨降らないかな、と思っていた」と笑う。
本場NZで武者修行
ラグビーに対する気持ちが変わったのは小学校低学年の時。1つ上の学年のチームに試合で勝ったことをきっかけに熱中するようになった。
「週2日のスクールでの練習だけではもの足りない」とラグビー部のある関東学院六浦中学校に進学。「部員のほとんどが未経験者」というチームをキャプテンとしてけん引し、3年生の時には桐蔭や慶應などの強豪を下し、同校初の県大会優勝を成し遂げた。
さらに、11年のW杯(ニュージーランド)を現地で観戦したことが意識を変える。「世界で活躍するには自分も海外に出るしかない」と、同国の名門・クライストチャーチボーイズハイスクールへの進学を決めた。
同校のラグビー部には約500人が所属。ラグビー王国の有望株はもちろん、世界中から留学生が集まり「練習は想像を絶するレベルの高さと過酷さ」だったという。
それでも「逃げ場はない。必死に食らいついた」。体重も3年間で30kg近く増やすなど身体づくりに励んだ結果、高校3年生でついにファーストフィフティーン、いわゆる1軍入りを果たした。
名門「神鋼」がオファー
そんな日下選手の元に、トップリーグの強豪「神戸製鋼コベルコスティーラーズ」からのオファーが届いたのは、卒業後の進路を考えていた頃。
日本では高卒で社会人チームに入る選手は少なく、日下選手自身も現地の大学への進学を考えていたため、「本当に悩んだ」と振り返る。
しかし同チームに世界的スター選手で高校の先輩でもあるダン・カーター選手が加わると知ったこと、さらにチームでの練習を体験したことで「こんなチャンスは二度とない」と入団を決意した。
待望のデビュー戦
昨シーズンのトップリーグでは出場機会が得られず、悔しさを感じていたというが、今年1月19日の試合でついにメンバー入り。途中出場し、トップリーガーとしてデビューを果たした。
「愛知県の会場に家族も駆け付けてくれた。普段ほめない父が『よかったよ』と言ってくれたことが嬉しかった。気付けば、いつも背中を押してくれるのは父でした」と照れ臭そうに話す。
国内トップクラスの先輩や憧れの世界的選手と共に練習できる環境は「刺激も多く、楽しい」。留学経験で身につけた英語力で、外国人選手から直接アドバイスを受けることができるのも「自分の強み」と胸を張る。
「世界では高卒で社会人チームやユースに入り、伸びる人も多い。自分も結果を出し、日本での先駆者になれたら。目標はもちろんW杯出場」と力強く語った。
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