10月24日(金)、よるカフェで落語「初天神」を披露する 小野間 博さん 南湖在住 49歳
落語で刻印する支援
○…南三陸町の仮設住宅で「初天神」を披露した時「笑顔にすることも支援の一つ」と実感した。24日のよるカフェは、それに続く大舞台。「気軽に来てほしい。自分は趣味止まりの素人だから」と控えめに話すが、あらすじをものの10秒で解説してしまう程の腕前だ。
〇…父が創業した小野間印章店のカウンターで「印鑑は世界に一つだけの自分の証」と優しく語る。十間坂で生まれ育ち、梅田小・中を経て寒川高校へ。出会ったハードロックに熱を上げ「バンドマンに」と大学を中退するも、20代半ばには稼業の虜となり、現在は兄と2人で同店を守り続けている。落語を始めたのは3年前のこと。母の文子さんと兄夫婦、妻の5人で母の77歳の誕生日に温泉へ出かけることに。それは喜寿を迎える特別な日。「世界に一つだけのプレゼントがしたい」。青春時代からの「思い立ったら吉日」の性分は今でも不動。深く思い出に残っていた父と母が寄席に行く姿。「これだっ」。3週間後の「初高座」へ向け、妻が見守る中、動画を師匠に落語の猛練習が始まった。
〇…「好きなお酒をひっかけて、緊張をほぐしました」と照れ笑いで振り返る2011年4月9日の喜寿旅行。その夜、皆はカラオケ宴会でほろ酔い気分。床に就こうと部屋に戻った家族の前で座布団を敷き、口火を切った。「俺、『初天神』やるから」。圧巻の滑舌に一同喝采。一世一代のサプライズとなった。母の「お前、練習してたのかい?」の言葉が一番嬉しかったという。
〇…店舗前で6年続けている矢畑肥地力交差点での交通安全ボランティアを「自分一人でも、できることですから」と謙遜する。東日本大震災では連日の報道に「放っておけない」と一人で石巻市へ発ち、瓦礫撤去や泥水除去などのボランティアも行った。同年市内で創設されたTAJ(タージ)に参加。「『芝浜』など人情話もできたらいいな」と話すが、このエピソード自体、泣かせる話じゃないか。
|
<PR>