10月25日(日)に開催する「茅産茅消青果まつり」の実行委員長を務める 三橋 清一さん 香川在住 65歳
美味しい野菜は芸術
○…「美味しい野菜を作ろう。思うことはそれだけ」と真直ぐに断言する。野菜や果物の生産者で組織される茅ヶ崎青果市場出荷組合連合会の会長を3期務めている実績で茅産茅消青果まつりの実行委員長に推薦された。「茅ヶ崎の都市型農業は良いことが多い。例えば匂いを抑えた肥料の採用。全国に比べて早く採り入れたが、より栄養素が高く自然に近いものを使うことになった。美味しい作物のためになっている」
○…母と妻、息子夫婦と孫の計10人で暮らす香川の自宅敷地内には、祖先が代々守ってきた鎌倉時代の武士の墓や神木などがある。「どうやらお祖父さんが19代目だったらしくて『長男は家を継ぐことが大切』とよく言っていた」。松林小・中、藤沢商業高を経て平塚にあった農業の教習所を卒業した。当時は高度成長期で、同世代の多くが「商社マン」を目指す時代。「農業を継ぐ人が極端に少ない学年で私も農高に進学しなかったが、だからこそ既成概念にとらわれずに農業ができた」と振り返る。
○…父が隠居し、40代で畑などを引き継いだ。主にキャベツやホウレンソウなどの露地野菜に力を入れた。「今この気温だったら3カ月後は雨が多いな。雨に強いあの畑にこれを植えるといいかも」と培われた経験からした予想が当たり、天候不良をものともせず野菜を育て上げた時は、他に代え難い嬉しさだという。
○…「大学へ進学した息子が、レタスの美味しさに気付き農業を継ぐ決意をしたので早めに引退しよう」と、55歳で代替わりをした。しかし今でも畑に通い、目指す「芸術的な野菜作り」を続けている。「趣味でイチゴやスイカを作っている。どの時期に魚粕を蒔くと甘くなるか、などを考えるとすごく楽しい」と嬉しそう。昔からの趣味はバイクや車などの機械いじり。「今は軽自動車に乗っているが、こだわりのエンジンだよ」とにっこり。野菜の話と同じ皺が目じりにできた。
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