市民劇団「湘南座」が11月15日(日)の公演「夕鶴」で、役者全員が手話を行いながら演技する「手話振り付け劇」を初上演する。茅ヶ崎市民会館小ホールで午後2時45分から4時まで。
湘南座は茅ヶ崎市文化団体協議会の演劇部門として1993年に創立した市民劇団。代表は前神奈川県議会議員の岩本一夫さんが務めている。団員は主に市内在住者。同劇団では94年の第1回公演以来「鶴の恩返し」を題材とした木下順二作の戯曲「夕鶴」を、配役を変えて定期的に上演している。12回目となる今回は、茅ヶ崎市民文化祭への参加作品となる。
手話条例が後押し
同劇団が最も多く上演してきた作品である「夕鶴」に今回初めて手話を採り入れることになったのは、岩本代表の提案によるもの。これまでの公演で、役者として聾唖者が数回出演した経験があり、以前から手話を織り交ぜた演出を考えていた。しかし舞台の袖で手話の解説を行うのではなく、役者自身が台詞を発し演技をしながら手話を行うことへの負担を考えると、断念せざるを得なかったという。
そんな折、今年4月1日に神奈川県手話言語条例が施行されたことを機に「やるなら今年しかない」と決心。主役の「つう」を演じる渡辺真麻さん(22)=浜須賀在住=や「与ひょう」役の齋藤ダインヌさん(27)=東海岸南出身=、「惣ど」役の吉田大亮さん(46)=東海岸北在住=、「運ず」役の深澤健太さん(32)=赤羽根在住=らに打ち明けると皆が快諾してくれた。
役者全員が初挑戦
岩本代表は友人の聾唖者との意思疎通を深めるため、25歳から独学で手話を学んできた。手話勉強会を立ち上げた経歴をもち、今回は手話と演出の担当を兼ねている。出演する小学生から大人までの役者全員が手話の未経験者で、10月から指導を開始した。上演に関して岩本代表は「おそらく市内では史上初の試みだと思います」と語る。渡辺さんら役者陣も「最も心配な手話は、テレビ番組などを何度も見て学んでいる」「手話の表現に集中しすぎて、他の演技をおろそかにならないよう気を付けている」「トライ&エラーの繰り返し。手話・台詞・立ち回りを同時に行うことに精一杯な場面もある」とそれぞれが抱える課題に果敢に挑戦している。
11月15日の公演は2部構成で行われる。午後1時からは第1部の通常劇「赤羽根山攻防記」と「異次元大雪の変」の2本。午後2時45分から第2部の手話演劇「夕鶴」が上演される。3作品全て観覧無料。
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