25周年を記念し書道展を開催した「逕友(けいゆう)書道会」の会長を務める 戸上 白逕(はくけい)さん(本名・戸上久美子) 鶴が台在住 77歳
「書」への想い次世代に
○…会の結成25周年の記念に開催した「逕友書道展」には3日間で約700人が来場した。「たくさんの方に来て頂き、嬉しい気持ちで胸がいっぱいです」と笑顔を見せる。茅ヶ崎、藤沢、寒川の2市1町が開催する「湘南書会展」や県の書道展で審査員を務めるなど、後進の育成にも力を注ぐ。
○…生まれは熊本県。幼い頃に太平洋戦争で父を亡くし、姉、妹と3人で母を支えた。「学校から帰ると稲刈りなどを手伝った。母も女手一つで3人を育ててくれた」と昨年3回忌を迎えた母に思いを馳せた。
○…「書」との出会いは中学の時。「担任が書に精通した人で何人かに書道を教えてくれた」。恩師の計らいで出展した硬筆の展覧会などで入賞を重ねた。高校では迷わず書道部に入部。「いつだったか母が『字の巧さはお父さんに似たのね』と遺言書を見せてくれた。そこには戦死する数日前に父が残したとても綺麗な字が書かれていました」
○…卒業後、就職した企業では字の巧さを買われ、人事部で書類の清書の仕事を任された。「今みたいにパソコンじゃないから毎日大変な量でしたよ」。結婚を機に移った茅ヶ崎で葬儀会社に転職し、看板や花輪の制作のほか、警察署からの依頼で感謝状などの制作も行った。「長年の協力で私も警察署から感謝状を貰うことになったんだけど、その時の感謝状も自分で書いたのよ」と裏話を明かし、手を叩いて笑う。
○…現在3人の息子は独立し、鶴が台で夫と暮らす。「茅ヶ崎が好きで。というのも会の生徒さんが良い人たちで家族の様な存在だから」。生徒たちからも慕われ、中には自分の雅号を付ける際、師の『白逕』から一字を取り『香逕』や『彩逕』とする人もいるほど。喜寿の祝いには会員のほぼ全員が出席してくれたそうだ。「私にとって『書』は人生そのもの。より多くの人にこの魅力を伝えたい」。真剣な表情に「書」の次代を想う強い意志を感じた。
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