茅ヶ崎市はこのほど、市内北部にある国指定史跡「下寺尾官衙(かんが)遺跡群」の保存活用計画をまとめた。今後は発掘調査と公有地化、整備を段階的に進め、史跡公園として活用していく方針。事業は2036年度までの期間を予定している。
同遺跡群は約1300年前のもので、高座郡(たかくらぐん)の役所跡(高座郡衙)と下寺尾廃寺(七堂伽藍跡(しちどうがらん))などで構成される。当時の律令国家を知る上で貴重とされ15年に国指定史跡となった。
市社会教育課によると「郡家、寺院、船着場、祭祀場が発掘調査で全て確認されている史跡は極めて希少。専門家から見ても『東日本では下寺尾のみでは』と言われるほど」。また、この遺跡群には奈良・平安時代初期の古代官衙遺跡のほかに、同地域の下の地層に弥生・縄文時代の重要遺跡が確認されており「重層遺跡」といわれる。
ガイダンス施設や駐車場などを整備
保存活用計画ではまず、20年度までに公有地化が進む下寺尾廃寺の整備を先行して行う。21年から26年にかけて現在移転先等を交渉中の茅ケ崎北陵高校の移転を前提に、高座郡家の史跡指定地などを整備するほか、遺構の存在しない川津・祭祀場の案内表示などを設置。27年から36年にはガイダンス施設や駐車場を整備し、遺跡を横断する道路の迂回も計画に盛り込んだ。
市は「歴史文化に親しむ地域の憩いの場」という構想のもと、史跡公園としての活用を計画。出土資料を展示するガイダンス施設を整備し、情報発信を行う。さらに、富士山を望む立地を生かした観光資源としての活用も図るという。
同課は「長期となる計画だが、市民の皆さんに地元に貴重な遺跡があることを知ってもらい、後世に継承しまちづくりに生かしていきたい」と話している。
また、今年は1957年に地元住民が遺跡の保存を願って建てた「七堂伽藍跡碑」の建碑60周年にあたり、市教育委員会では11月から12月にかけて、式典やシンポジウム、展示などの記念事業を企画している。
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